もし日本企業の海外工場や現地法人で、海賊版のソフトウェアなど、違法なITが使われたら……。これまでは、知的財産保護の観点から、現地の法律にもとづいたペナルティを受ける例がほとんどでした。
しかし米国では、複数の州で製造業のバリューチェーンでの不正なITの使用を公正競争の観点から規制する州法が施行され、注目を集めています。米国は製造業の国内回帰が進んでいて、この動きの背景には、「新興国の製造業は不正なIT利用によって競争上の利益を不当に得ている」という意識があるようです。
新興国に製造拠点を多くもつ日本のメーカーもひとごとではありません。米国の動きには無理筋の部分もありますが、グローバルに広がるバリューチェーンを適切に管理することが、これまで以上に重要になります。そこがITベンダーの商機になります。
安倍・オバマ会談によって、TPP交渉参加への流れが加速しつつあるいま、市場のルールとして、こうした問題が議論の対象となる可能性があります。国益を損なわぬよう、ルールの内容をしっかり議論してほしいと思いますが、一方で、世界でビジネスを展開する企業には、決まったルールをしたたかに商機に結びつける姿勢が求められます。(本多和幸)
【記事はこちら】
米国のIT事情 違法使用に新たな規制 ベンダーに好機到来かメールマガジン「Daily BCN Bizline 2013.2.26」より