『週刊BCN』の連載「営業マネージャーたちの最前線」では、IT企業で奮闘している営業リーダーに、営業現場での様子やマネージャーとしての工夫などを語っていただいています。ここでは、紙面では掲載しきれなかったエピソードをご紹介します。 *「営業マネージャーたちの最前線」本編は『週刊BCN』1508号(12月2日号)に掲載しています。ぜひご覧ください。

[語る人]

●profile..........
大坪 健一(おおつぼ けんいち)
 1997年、ネットワーク構築などを手がけるNECネッツエスアイに入社。大手インターネットプロバイダの施設を日本全国に設置する技術者として活動する。ソフトウェアに興味を抱き、2005年、システムサポートに転職。営業担当として、民間企業に自社製品を販売する仕事に就いた。2010年、事業部長に就任。

●所属..........
システムサポート
プロダクトサービス事業部
事業部長

●担当する商材.......... 工事管理ソリューション「建て役者」
●訪問するお客様.......... 全国のハウスメーカーやリフォーム事業者
●掲げるミッション.......... 独自商材である「建て役者」の販売拡大
●やり甲斐.......... 上層部に信頼され、他部署より高い数字目標を指示されていること
●部下を率いるコツ.......... 自分の真似をさせて成長につなげる
●リードする部下.......... 16人

 部員を自分の子どものように思い、愛情を込めて育てていく――これが、私のマネジメント哲学だ。忙しくても部下からの相談に乗ったり、飲み会などでコミュニケーションを図ったりして、部員のモチベーションが高まるよう、明るくて笑いのある雰囲気の部署になるよう心がけている。IT企業のなかには、席が隣同士でもほとんど会話がない会社もあるという。うつで会社に来られなくなる例も聞いたことがある。こうしたことを防ぐために、私はメンバーに「最近、どう?」と定期的に声をかけて、チーム内のコミュニケーションを促すようにしている。

 明るい雰囲気づくりに欠かせないのは、お酒の席での「飲みニケーション」だ。もうすぐ12月。忘年会の時期が近づいている。毎年、チームの忘年会では、年末までの売上目標を達成できなかった部員に漫才を披露してもらっている。来年こそは頑張ろうという意味も込めて、みんなで笑い、楽しいひとときを過ごすことで、メンバーの絆が強まる場にしているのだ。他部署からは、よく少しうらやましそうな声で「大坪さんの部署は会社のなかでもカラーが違うね」といわれる。

 私の部署では、現在売り上げが順調に伸びているハウスメーカー/リフォーム事業者向けの工事管理ソリューション「建て役者」に加えて、独自の商材を扱いはじめた。この春、iPad向けの見積もり作成アプリケーションを開発し、業種を問わないこの商材をツールに、新規市場の開拓に取り組んでいる。このiPadアプリは、営業メンバーのアイデアから生まれ、技術部隊と密に連携して、お客様のニーズを反映しながらかたちにしたものだ。冒頭でお話ししたチーム内のコミュニケーションが実を結び、各メンバーの動きがうまくかみ合って新製品の開発につながった。iPadアプリの開発を機に、「私もやりたい」と手を挙げる人が増えていて、どんどん自分で新しい商材を考えて開発するというムーブメントにつなげたい。

 今回の見積もり作成アプリは汎用型なので、メンバーはいま、ポイントを絞ってメリットを訴求する営業トークを、失敗を繰り返しながら模索しているところだ。業種特化型で提案経験が豊富な「建て役者」についてなら、一つの質問に三つの答えができるが、iPadアプリはまだ一つの答えしか出せていない。こうして、新しい商品のときの苦労もそうだが、営業というのは、どうしてもすぐに努力の結果が現れない時期がある。私はそういう時期に備えてアンテナを張り、案件が苦しくなりそうなときに、部長として第一線に出てお客様を訪問し、提案をもう一度“かき回す”ことを心がけている。

 私は中学校から大学まで野球部にいた。野球をやる人には、打てなくなるとソックスを変えるなど、験を担ぐ人が多い。私も例外ではない。金沢から東京に来ているときはホテル暮らしだが、「最近、営業がうまくいかないな」と思ったときは、いつもと違うホテルに泊まって、日常生活を変えて気分転換を図ることで数字の回復を目指している。