▼「住基ネット(住民基本台帳ネットワークシステム)って本当に便利だよね」「住基ネットがない生活なんて考えられない」というような声がほとんど聞かれないまま10年が過ぎた。マイナンバー(社会保障・税番号)制度が実質今年10月から動き出す。しかし、このままでは「失敗した住基ネットの二の舞になる」という情報サービス業界幹部らの懸念が現実のものとなってしまう可能性がある。

▼失敗を繰り返さないためには、マイナンバーを「これは本当に便利だ」とユーザーに実感してもらうほかない。制度設計上、商用利用や医療分野への適用を視野に入れているのもこのためだが、パーソナルデータの利活用には強い反発が起きやすいだけにハードルは極めて高い。

▼ちなみにフェイスブックやグーグルは、パーソナルデータの提供と引き替えに利便性を享受する仕組みだ。最初は抵抗があったユーザーも「利便性が抵抗感を上回った」瞬間に普及が加速した。つまりマイナンバーもこうしたメジャーなサービスと同等か、それを上回る利便性をどうつくりあげるのかにかかっている。情報サービス業界の真価が試されているのだ。(寶)