▼中学生の頃、ラジコン飛行機に夢中になり、初心者用の翼面積の広い“凧”のような機体から、徐々に流線型の高速機体を操れるようになったときは、「操縦する喜び」を実感した。

▼時代は下り、いま話題のドローンは“自律飛行”が最大の特徴で、これまでのラジコン飛行機とは一線を画す。誰でも簡単に飛ばせて、空撮できるカメラで撮った美しい鳥瞰映像は、アッと驚くほかない。ただ、自律飛行するドローンに「操縦する喜び」は果たしてあるのだろうか。

▼自動車も、近い将来、自律走行が実用化され、従来の自動車の概念をくつがえすだろう。そんな時代にかつての「運転する喜び」を訴えたところで、若い世代には年配者特有の「懐古主義」にしか映らないかもしれない。

▼飛行機や自動車は、飛び、走るのがあたりまえ。IT業界でも、いまや何の苦労もなしにクラウドからサーバーを引っ張ってこられる。こうした基本機能に人間が介在する余地はますます少なくなる。多くの人がどこに“喜び”を感じるかは時代とともに変わる。それを踏まえたうえで“楽しいこと”を創出することがビジネスにつながる。(寶)