情報独占の崩壊が新たな価値を生む

 マイナンバー(社会保障・税番号)制度によって、個人情報やプライバシーの保護に関する関心が高まりつつある。住基ネット(住民基本台帳ネットワーク)と個人情報保護法が制定された頃に一度関心が高まったのが、マイナンバーによって再燃したかたちだ。

 マイナンバー制度の目的は、公平かつ公正な社会を実現するところにある。そのため、たとえ個人が情報の提供を拒否したいと考えても抗うことはできない。それがマイナンバー制度の本質である。

 インターネットは情報流通に革命を起こしたが、さらに踏み込んで社会の課題を解決するために活用するうえでは、さまざまな企業や団体が独占している情報を開放する必要があるのではないか。本書のタイトル「情報は誰のものか」は、その問いである。情報独占を崩すことが、「新たな価値を創造する」「ITで常識を覆す」ことにつながるというわけだ。情報は誰のものかについての回答を解説しているわけではない。

 本書は、情報処理推進機構(IPA)の社会課題ソリューション研究会で行われた議論がベースとなっている。とくに第2章は昨年9月に同研究会がまとめた資料であり、IPAのウェブサイトから無償で入手できる。ただ、研究会を始めるに至った背景や議論の内容、事例などが、第1章と後半の参考資料として追加されているので、別途購入する価値はある。なお、本書のタイトルは「情報は誰のものか」だが、全体としては「社会課題の解決にITはどう貢献するか」がテーマの内容になっている。(亭)

『情報は誰のものか』
情報処理推進機構 編
海文堂 刊(1400円+税)