CCCが家電店をオープンする理由

 TSUTAYAを展開するカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)が、今年5月3日、二子玉川に家電店(蔦屋家電)をオープンした。なぜ今、家電店なのか。家電ビジネスを取り巻く環境は最悪の状況にあるといっていい。遅れて登場した新参者に、はたして勝算はあるのか──。CCCの創業者で、日本最大の“書店と映像&音楽のレンタル販売チェーン”を一代で築いた増田宗昭氏に対して、マーケッターの川島蓉子氏が根掘り葉掘り聞きだすというかたちで経営戦略を浮き彫りにしていく。

 TSUTAYAの原点は、「文化=カルチュアを手軽=コンビニエンスに楽しむ」ことにあるという。今から30年ほど前、1984年に大阪府吹田市に開いた「蔦屋書店 江坂店」はその経営ポリシーを体現した店で、カフェとオフィスを融合させたTSUTAYAとして話題を呼んだ。比較的新しいところでは、2011年オープンの「代官山蔦屋書店」がある。4000坪の敷地に広大な書店と商業施設を設えたもので、老若男女に人気を博した。そうした店づくりの根底にあるのは、「CCCは世界一の企画会社になる」という増田氏の強い思いである。そして特筆すべきは、「効率重視が人を不幸にする」という考えに立脚していることである。大量仕入れで製品の価格を抑え、所狭しと陳列するというような、“モノありき”の家電量販店とは一線を画すのが蔦屋家電というのだ。「トータルな生活提案によって、まったく新しい家電店を目指す」というCCCの創業者の試みは注目に値する。(仁多)


『TSUTAYAの謎』
増田宗昭に川島蓉子が訊く
川島蓉子 著
日経BP社 刊(1500円+税)