「EPSON」ブランド40年の軌跡

 セイコーエプソンの前身である大和工業は、1946年に「SEIKO」ブランドで女性向け腕時計を発売した。同社の第一号製品である。組みあがった完成品4個のうち、動いたのは2個だったという。これを機に、大和工業は腕時計をつくるようになり、後に本社のある長野県の諏訪地方が「東洋のスイス」と呼ばれるきかっけにもなった。

 大和工業の社名がセイコーエプソンになるまでの間、同社または同社の関連企業は、世界初の小型軽量デジタルプリンタ、世界初のクオーツ腕時計、世界初のハンドヘルドコンピュータ、世界初のテレビ機能を搭載した腕時計など、常に“世界初”に挑戦してきた。ちなみに、82年に発売されたテレビウオッチは「世界一小さいテレビ」として、84年度版のギネスブックに掲載されたという。

 エプソンブランドが誕生したのは、75年6月。2015年でブランド制定から40年が経過した。その歩みを紹介するのが、本書『究め極めた「省・小・精」が未来を拓く』である。「省・小・精」は「しょう・しょう・せい」と読む。「エネルギーを省く」「モノを小さくする」「精度を追求する」というセイコーエプソンがこだわってきたモノづくりの基本姿勢からくる同社の造語である。 本書は、この「省・小・精」をキーワードに信州発のモノづくり企業の歩みを分析している。独創的な企業文化に加え、筆者自身が25年にわたってセイコーエプソンを取材してきていることもあり、単なる企業の歴史紹介にとどまらない読み応えとなっている。(亭)


『究め極めた「省・小・精」が未来を拓く』
大河原克行 著
ダイヤモンド社 刊(1600円+税)