基幹系のクラウド化を考える

 「セキュリティ対策を考慮して、パブリッククラウドを選択した」というユーザー企業がでてきている。日々高度化する悪意のある攻撃に対して、社内で対応するよりも、専門家に任せたほうが安心という発想だ。

 パブリッククラウドの登場当初は、多くのユーザー企業がセキュリティを不安視する声が多かった。企業の重要なデータを社外に預けることの抵抗感は今も根強く残っているが、情報漏えい事件をきっかけとして、風向きが徐々に変わってきている。基幹系システムでの導入事例も、多くなってきた。

 パブリッククラウドがエンタープライズ分野で採用されるようになった背景として、海外拠点におけるIT関連の課題解決も挙げることができる。どの拠点でもITの活用が不可欠なため、以前は拠点規模の大小に関係なく、IT部門の人員を配置しなければならなかった。クラウドを採用することで、各拠点の人員を本業に集中させることができるというわけだ。

 本書は、そういったエンタープライズ分野におけるパブリッククラウドの動向が、海外・長距離通信サービスを主事業としていたNTTコミュニケーションズの視点で書かれている。後半の事例や構築ガイドは、同社のエンタープライズ向けパブリッククラウドの「Enterprise Cloud」の説明だが、本文の多くは中立的な視点が多く、パブリッククラウドの入門書としても活用することができる。また、オフコンからパブリッククラウドへの移行に関して多くのページを割くなど、エンタープライズ分野ならではのコンテンツが盛り込まれている。(亭)


『Enterprise Cloudシステム構築ガイド』
NTTコミュニケーションズ 著
翔泳社 刊(3400円+税)