BOOK REVIEW

<BOOK REVIEW>『ゴルフ データ革命』

2015/09/24 15:27

週刊BCN 2015年09月21日vol.1596掲載

“Putt is Money”はウソ?

 データを都合のいいように解釈するのは、アナリストのお家芸。だが、人類の歴史のなかで積み上げてきた経験による“定説”をひっくり返すには、都合のいい解釈ではなかなか説得できない。解釈を超えた説得力のあるデータが求められる。

 スポーツの世界でも、先人たちの経験から受け継がれた定説がある。ゴルフの世界であれば“Putt is Money”が代表例だ。ドライバーショットもパットも同じ一打だと思うと、妙に納得してしまう。

 そんなゴルフにまつわる定説や常識の数々を、ショットごとのデータと「稼いだ打数」を分析することで明らかにするのが本書だ。定説や常識の間違いを知れば、プレー中の判断力が高まり、スコアを縮めることができる。ちなみに、「稼いだ」は「縮めた」を意味していて、稼いだ打数を使えば、ゴルファーのプレー全体を分析できるという。

 データ収集の方法や分析方法は、本書を読んでいただくとして、分析によって明らかになった事実をいくつか紹介したい。例えばドライバーショットとパットに関しては、次の結論に至っている。「PGAツアーの上位40選手で、アプローチは稼いだスコアのうち40%、ティーショットは28%、ショートゲームは17%、パッティングは15%を占める」。また、次も興味深い。「よく飛ぶゴルファーほど真っすぐ打てる」。本書の分析結果を知れば、トレーニング方法も変わってくる。スコアが伸び悩んでいるゴルファーの解決策もみつかるはずだ。(亭)


『ゴルフ データ革命』
マーク・ブローディ 著
プレジデント社 刊(2200円+税)
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