Watsonだけでは何もできない

 万人向けとはいかず、ユーザーを選ぶサービスであるIBMのAI「Watson」。導入費用が高すぎるといわれるのがその理由の一つだが、世はAIブーム。Watson関連のビジネスを手がける企業からは、対応しきれないほどの案件数があるとの話を聞く。Watsonを活用するノウハウをもったエンジニアは、引く手あまたの状態だ。AI関連のサービスは乱立状態だが、Watsonのブランド力は突出しているといえるだろう。

 IBMは、Watsonを同社のクラウドサービス「Bluemix」上で提供している。Bluemixには無料枠があり、Watsonもある程度は無料で使用できる。本書の目的は、その無料枠でWatsonを使ったプログラミングの実践にある。

 本書は、Watsonだけでなく、Bluemixが初めての人でも対応できるように、アカウントの作成方法から紹介。無料枠が利用できるのは30日間だが、Bluemixの各サービス内にも無料枠があるため、その範囲であれば引き続き無料で利用できる。

 Watsonサービスには、デモ画面が用意されていて、ノンプログラミングで手軽に体験できる。とはいえ、本書の目的はそこではない。目指すは、Watsonサービスが提供するAPIの理解と、APIを活用するプログラミングの習得である。具体例として紹介しているのは、TwitterにツイートするBotと画像認識アプリの二つ。これで基本的なところは理解できるが、当然ながら、これがすべてではない。最後の章で著者は次のように解説している。「Watsonだけでは何もできない」。生かすも殺すも、利用者次第というわけだ。(亭)


『初めてのWatson』
井上研一 編
リックテレコム 刊
(2200円+税)