日本のものづくりを守るために

　「今すぐにでも何らかの取り組みを始めないと、多くの中小企業にとって千載一遇のチャンスを逃すことになるかもしれない」。著者の言葉から、中小企業の行く末に対する危機感が伝わってくる。

　ドイツ発のインダストリー4.0が注目されるようになった。日本でも活発な取り組みが進められているが、著者は、ドイツとの大きな違いを指摘する。

　それは中小企業の動きだ。中小企業が積極的なドイツに対し、日本の状況については「全体的に動きが鈍い」と主張。日本の中小企業が窮地に追い込まれる可能性にも言及する。

　本書では、インダストリー4.0のほか、それを支えるIoTやAI（人工知能）を取り上げ、導入のポイントを紹介する。内容は実践的で、やや難易度が高いが、導入を検討している中小企業にとっては、役に立つ一冊といえるだろう。日本のものづくりを守るために、多くの経営者に読んでもらいたい。（鰹）
  『インダストリー4.0時代を生き残る!
中小企業のためのIoTとAIの教科書』
島崎浩一　著
総合法令出版
（1500円＋税）