企業の盛衰を“経営継承”で分解

 日本を代表する巨大企業が、経営破たんに追い込まれる。何度もみてきた光景だ。経営が破たんする企業を横目に、同じ市場で成長を続ける企業もある。同じ市場となれば、原因はどこにあるのか。

 「悪いのは社長に決まっている」としたいところだが、犯人探しではなく、企業の盛衰を構造から解き明かすことに取り組んだのが本書である。国内の巨大企業のデータをもとに、成長を続ける企業、衰退に向かっている企業を分析。著者は、経営陣の入れ替えに関する慣習が違うことに気づいた。

 衰退に向かう企業は、社長の任期だけが長く、その他の経営陣の任期が短いとのこと。任期の差が、経営陣内で経験値格差を生み、経験豊富な社長に一任するスタイルへと向かっていく。社長以下の経営陣は、社長の顔色をうかがうだけになるというわけだ。なお、著者は経営陣の人数を6人までとしている。その人数を超えると、まともな議論ができなくなると指摘している。(亭)
 

 
『経営継承の鎖』
松田真一 著
日本経済新聞出版社 刊(1800円+税)