BOOK REVIEW

<BOOK REVIEW>『デジタルの未来』

2018/10/03 09:00

週刊BCN 2018年09月24日vol.1744掲載



オールド企業の存続をかけた変革戦略

 古くから使われてきた「デジタル」という単語が、最新のトレンドキーワードになって久しい。世界で起きているビジネス環境の変化には、デジタルが必ずといっていいほど影響を与えている。そのため、とても便利なワードとして利用できる。IT業界としては、便利な言葉はビジネスチャンスとして使うべきである。

 本書は「デジタル革命はあらゆる業界を呑み込み、新しいビジネスモデルの創造・設計を要求する。この事業存続リスクに目をつぶる企業は、消滅する」と警鐘を鳴らす。この考えが浸透するなら、IT業界にとって強力な追い風となる。ただ、デジタルの本質を理解していなければ、ユーザー企業はITベンダーの提案に拒絶反応を示すに違いない。デジタルという網羅的で便利な言葉は、ユーザー企業に曖昧な印象を与えるからだ。

 デジタルを理解し、先導するのはIT業界の役割である。そのためには、「デジタルの未来」をしっかり把握しておくべきだろう。(亭)
 

『デジタルの未来』
ユルゲン・メフェルト、野中賢治 著
日本経済新聞出版社 刊(2000円+税)
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