▼この5年ほど、毎年この時期に米オラクルの年次イベント取材でサンフランシスコに出張している。1年に1回の定点観測はさまざまな変化を教えてくれる。

▼メイン会場であるモスコーニ・センター周辺では、期間中、大手ホテルチェーンであるマリオットの従業員が賃金アップを求めて早朝から深夜までストライキを行っていた。グローバルベンダーの華やかなイベントとのコントラストがなんとも形容しがたい雰囲気を醸し出していたが、少なくともポジティブな印象ではない。

▼隣接するシリコンバレーに本拠を置くテック企業などの成長を追い風に、近年、好景気に沸くサンフランシスコ。その豊かさをシェアしてもらおうと、全米からホームレスが集まっているという。実際、訪れる度にその数は増えている印象だ。街の清潔感も年々失われているし、路上や公共交通機関では、奇声を発して挙動不審になっている人に遭遇することも少なくない。混沌の度合いは増している。

▼行き過ぎた富の偏在が社会全体の安定を奪うという側面はあるだろう。成長を謳歌するテック企業も、明らかにバランスが崩れているように見えるこの街の将来に、相応の責任を負う必要があるのではないか。(霹)