▼東京にはおよそ600人の落語家がいる。「多過ぎて出番が減る」と、高座で真打ちの落語家が嘆いていた。落語界には定年がないため、大ベテランが多くを占めるが、入門希望者も後を絶たない状況とのこと。危機感を覚えた落語芸術協会は、前座に30人枠を設定しているという。

▼落語界では、伝統的な師弟制度が現在も綿々と受け継がれている。弟子として迎えてくれる師匠がいなければ、落語家にはなれない。稽古も昔のまま。崩していいと言われない限り、稽古中の師匠の話は正座で聞く。東京では通常、前座を5年ほど勤めると二つ目になり、さらに10年頑張って、ようやく真打ちへと昇進する。

▼東京商工リサーチによると、昨年の人手不足による倒産件数は387件であり、過去最多だったという。全体の倒産件数が減っている中での上昇トレンドである。地方の人口減を考慮すると、人手不足倒産は今後も加速しそうだ。IT業界も他人事ではない。

▼AIブームで学生人気が復活したIT業界。人材確保には、最新テクノロジーへの取り組みが不可欠だ。落語家は、口から新しいことを発するので噺家(はなしか)ともいう。伝統芸も、常に進化を求められている。(風)