▼「注文をまちがえる料理店」というプロジェクトがある。接客スタッフは全員、認知症のお年寄りだ。だから注文を取るのも、配膳するのも、かなりの確率でミスしてしまう。

▼店のコンセプトを理解して入店した客であれば、こうしたミスにも寛容でいられる。接客スタッフに何度も同じことを聞かれても丁寧に説明し、料理を受け取る時も客側から「それ、こっちのテーブルだよ」と声をかける。料理が届くまでのプロセスは、客とスタッフの共同作業と言えるかもしれない。

▼キモは、料理人が一流であることだいう。料理が安全かつ味も確かであれば、客がこのサービススタイルを受け入れる余地は大きくなる。クリティカルな役割を担うのでなければ、認知症であっても社会参加できることを実証しようとしている。

▼4日、5日には厚労省の職員向け食堂でも営業し、好評だったという。誰だって永遠に若くはいられない。少子高齢化が急速に進む中で、より多くの人が社会からはじき出されずに最後まで人生を謳歌できる国をつくるためにはどのような制度設計が必要なのか。そこにもAIやビッグデータ分析が力を発揮できるフィールドはある。(霹)