▼人は何歳まで生きることができれば満足するものだろうか。92歳まで生きた祖父に多くの人が大往生だと言ってくれたが、結局のところそれは他人の感想でしかない。「100歳まで長生きしてね」とひ孫に無邪気に言われた90歳の人が、何歳になっても命の期限を区切られると切なくなってしまうと言っていたのを思い出す。

▼「人生100年時代」の議論が盛り上がってきた。雇用や社会保障の在り方は大きく変わらざるを得まい。生活レベルをある程度維持する前提なら、公的年金だけでは定年後の生活が成り立たないことなど誰もが理解していたはず。この重大事を政局に利用すべきではない。与野党問わず、真摯な議論を望む。

▼健康寿命、資産寿命をいかに伸ばすかが長い人生を生き切る重要なポイントになる。IoT、AIなどを活用したヘルステックにかかる期待は大きいし、金融領域では量子コンピューター分野で実用化の先頭を走るアニーリングがポートフォリオ管理に革命をもたらすかもしれない。IT産業の商機と果たすべき社会的役割は大きい。あとは、心安らかな「終活」をサポートできれば言うことなしか。(霹)