▼「権力は腐敗する」という格言を残したのは英国の歴史家・思想家であり政治家でもあったジョン・アクトンだが、まさに真理というべきか。権力者個人の抑制や清廉であろうとする意志とは無関係に、権力の構造の中に避けがたい腐敗の素が溜まっていくということなのだろう。

▼現政権は、IT産業の関係者には評判がいい。タイミングの問題もあろうが、成長戦略の中に先進ITの活用を盛り込んでソサエティ5.0を打ち出し、働き方改革を推進し、DXレポートで2025年の崖問題を指摘する。まさにビジネスを後押ししてくれる施策が近年続々と登場した。消費税率引き上げも、IT業界にとっては追い風だ。

▼それでも「桜を見る会」や大学入試の民間試験導入問題などを見るにつけ、権力の腐敗を思わずにはいられない。安倍首相の在職日数が憲政史上最長になったことは、国民にとってめでたいことなのだろうか。

▼安定政権のメリットは当然あるが、非連続の時代を乗り越えるには「流動性」が重要になる局面も出てくるだろう。硬直した公権力が作り出す一時的な需要に頼らず、流動性をもって変化に対応できる産業こそ、強い産業と言えるのではないか。(霹)