便利なサービスの裏にある過酷な実態

 ネット通販需要の拡大で、他の業界と比べてもとりわけ人材不足感の強い物流業界。本書では、物流ジャーナリストである著者がトラックドライバーに密着取材し、現場の臨場感をルポ形式で伝えている。東京~大阪間を夜から朝まで連日往復する長距離輸送ドライバーや、朝一でトラックに荷物を積み込み、1日で計100個以上の荷物をさばく宅配ドライバーの姿は、仕事に「やりがい」を持ちながら日々奔走する一方で、「3K(きつい、汚い、危険)なのに稼げない」という過酷な労働の実態もうかがわせる。

 近年では、ドライバーの労働環境改善や、人材不足の解消に向けた取り組みが積極的に推進されている。駅などで見かけることの増えた「宅配便受け取りロッカー」もその一つ。この新型コロナ禍では、対面を避けるための配達手段として「置き配」が受容されるようにもなった。置き配は不在時でも受け取りが可能なため、ドライバーにとっては再配達が不要というメリットがある。

 自動運転、物流ドローン、宅配ロボットなど、最新テクノロジーを活用した輸送・配達の実証も進められている。まだまだ課題も多いが、実用化されれば、物流業界の人材不足改善や配送の効率化に向けた道が大きく開けるようになるだろう。

 本書を通して、人材不足にさらされる物流業界およびドライバーたちの現状を理解できる。日頃宅配サービスを利用する身として、改めてドライバーの方々に対する感謝の念を抱いた。(宙)
 


『ルポ トラックドライバー』
刈屋大輔 著
朝日新聞出版 刊(790円+税)