デジタル強国化する中国に学ぶ

 2018年10月に出版された「チャイナイノベーション データを制する者は世界を制する」に続く第2弾。中国におけるFinTech研究の第一人者である著者は前作で、中国政府の政策や中国の代表的テック企業・アリババとテンセントのビジネス戦略などの解説を通して、中国のデジタル経済とイノベーションの本質を説いた。本作では中国のデジタル強国戦略がどのように形成されてきたか、40年以上前に遡り発展の経緯をたどるほか、米中対立に翻弄されるファーウェイ、日本でも人気の「TikTok」を核に急速に成長するバイトダンスにフォーカスを当て、両社の強さの秘密に迫る。さらに、新型コロナウイルスの感染拡大を短期間で抑え込めた背景にあるテクノロジー活用、法定デジタル通貨「デジタル人民元」を巡る取り組みを解説。本書を通して、中国における最新のデジタルイノベーション事情を広く深く知ることができる。

 デジタル戦略を強力に推進する中国政府の姿勢や、イノベーションを生み出す中国先進企業の企業文化に対する理解が深まるのは前作と共通。中国のデジタル化の急速な進展は、もはや誰が見ても疑いようのないものになっている。日本でも今、多くの企業がデジタルトランスフォーメーションに取り組もうとしている。中国の成功事例、失敗事例から学ぶことは「日本企業にとっても新規事業創出や『イノベーションのジレンマ』打破に向けたヒントになる」と指摘している。(宙)
 


『チャイナ・イノベーション2 中国のデジタル強国戦略』
李 智慧 著
日経BP 刊(2200円+税)