ネットのない時代の「常識」は捨てろ

 ライブドア元社長の堀江貴文氏の随筆集としてまとめられた本書からは、インターネットが登場する以前の「古い常識」に、とらわれている人が依然として多いことに対する危機感が伝わってくる。

 ネットによって仕事の効率が格段に向上し、大企業のような組織でなくても、大企業に匹敵する新しい産業を若者だけで興せるようになった。にもかかわらず、国内の産業構造の転換は遅々として進まないことに警鐘を鳴らす。ネット以前の古い常識はもはやビジネスの成長にとって足かせでしかないと主張する。

 “寿司職人で10年下積みの修行をするのは時間の無駄遣い”だと堀江氏が主張して議論を呼んだ。寿司のつくりかたや店舗経営に関する情報はネットから誰でも簡単に入手できる。ノウハウ習得は最短ルートで効率よく行い、その分の時間を寿司店経営によって自分は何をしたいか、どんな人生を送りたいのかの好奇心や探究心を養ったほうがビジネスの伸びしろは大きくなると説く。

 ほかにも、ネットによる驚異的な情報化の発達によって、失敗しても素早く修正できるようになり、試行錯誤の回数をいくらでも増やせるようになった。挑戦する回数が増えれば増えるほど学習効果によって成功の確率は高まる。成功と失敗を記した“スタンプ・カード”があったとしたら、「世の成功者は失敗の印だらけだ」と、堀江氏は言う。

 ネットのない時代の常識をかなぐり捨ててこそ、ネット時代の新しい企業や産業が育つ。本書はそんな堀江氏の熱い思いが滔々と綴られている。(寶)
 


『非常識に生きる』
堀江貴文 著
小学館集英社プロダクション 刊(1400円+税)