▼火事場泥棒の被害が深刻化している。中小企業庁の「中小企業デジタル化応援隊事業」について、不正受給が組織的に行われている疑いが濃厚になった。事務局にも不正を指南する活動が行われているなどの通報が寄せられたという。同庁は新規案件への補助を一時停止し、不正防止のために制度を見直す。

▼長引く新型コロナ禍の中、事業のデジタル化を進める中小企業を支援する緊急対応策である。スピード感を重視し、制度を利用するハードルは低く設計されている。コロナ対応の補助金では、多かれ少なかれ同種の課題が顕在化しているが、そこを突く卑しさが薄ら寒い。

▼不正受給が横行して制度がストップすれば、必要な人に支援が行き渡らなくなる可能性もある。一方で、制度の設計者側が想定しているほど、デジタル投資を喫緊の課題だと考えている中小事業者は多いのだろうかという疑念も残る。

▼地域間のデジタルデバイドはむしろコロナ禍で拡大した感がある。地域や業種によっては「ニューノーマル」な働き方など別世界の話だと思っている。もはや「緊急時」を超えた新たなフェーズのデジタル投資促進策が必要なタイミングなのではないか。(霹)