BOOK REVIEW

<BOOK REVIEW>『カワイイエコノミー』

2022/03/25 09:00

週刊BCN 2022年03月21日vol.1915掲載

プリ機の開発で実践する“なりきり術”とは

 本書はプリントシール機(プリ機)などの開発を手がける総合エンタメ企業、フリューのガールズトレンド研究所の稲垣涼子所長の著書だ。「女心と秋の空」と言われるように、変化が激しい女性市場をどう攻略しているのかを分かりやすく説いている。
 

 プリ機の場合、まず「ユーザーである“女の子”の心をインストールする」ことから始めるという。ここで言うインストールとは顧客になりきることだ。ターゲットとなる若者が集まる渋谷や原宿の喫茶店やハンバーガー店で周囲の会話に聞き耳を立てたり、グループインタビューを実施したりして、どういったものに魅力や価値を見いだすのかを徹底的に把握する。その上で、プロの技術や目線で顧客の心に響く商品やサービスをつくる段取となる。

 兵法で言うところの「敵を知り、己を知れば百戦危うからず」だが、実際は言うは易しで実践するには越えなければならないハードルがいくつか存在する。本書では具体的にどう実践すべきかを実例を交えて解説している。

 顧客の行動原理や審美眼をトレースし、顧客起点かつプロの目線でものづくりをする姿勢は、コンシューマー向けビジネス全般のみならず、企業向けITビジネスにも役立ちそうだ。(寶)


『カワイイエコノミー』
稲垣涼子 著
日経BP 刊 1870円(税込)
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