BOOK REVIEW

<BOOK REVIEW>『元FBI捜査官が教える「情報を引き出す」方法』

2022/06/03 09:00

週刊BCN 2022年05月30日vol.1924掲載

攻守のポイントを把握する

 記者という職業柄、日々、情報に触れている。インターネットを通じて情報を集められるようになったが、価値のある情報を持っているのは人である場合が多い。ダイレクトに聞いていいものか、それとも遠回りしながら聞き出すか。取材相手と対峙する際は、常に戦略を練っている。
 

 本書が主題とする「情報を引き出す方法」は、勘や経験に頼っている部分が大きい。私もその一人で、先輩や同僚などの意見を参考にしつつ、自分なりのやり方を模索してきた。

 著者の一人のジャック・シェーファー氏は、元米連邦捜査局(FBI)の特別捜査官として約20年間、事件の容疑者や目撃者、スパイが重要な情報を隠していないかなどを見極めてきた。本書は、シェーファー氏が編み出した相手との信頼関係の築き方や情報を引き出すテクニックを体系的に紹介する。今まで漠然としていた自分の方法を本書の内容と照らし合わせれば、きっと改善点が見つかるだろう。

 本書を一読すれば、情報を引き出す名手になるための知識が得られるとともに、逆に引き出されないための防御法を知ることもできる。相手との交渉が必要な場面では、情報は大きな武器になる。攻守のポイントを把握することは、多くの人にとって役に立つはずだ。(鰹)


『元FBI捜査官が教える「情報を引き出す」方法』
ジャック・シェーファー、マーヴィン・カーリンズ 著
栗木さつき 訳
東洋経済新報社 刊 1760円(税込)
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