北斗七星

北斗七星 2022年8月8・15日付 vol.1934

2022/08/12 09:00

週刊BCN 2022年08月08日vol.1934掲載



▼お詫び代は「200円」。KDDIが7月初めに発生した大規模通信障害を受けて発表した返金額である。一部報道は、迷惑を被った利用者の声を引き合いに補償が不十分との主張を繰り広げ、その根拠となる基準の見直しを求める意見も見られた。

▼仕事や暮らしに多大な支障が生じた利用者にとって、たった200円では何の足しにもならないだろう。補償基準に疑問を抱く気持ちもわかる。ただ、一連の報道は、利用者の声を真正面から受け止めすぎでは、という気もした。

▼大切なのは今回の障害を教訓に社会を前に進めることだ。通信サービスの信頼性が100%ではないという前提を消費者に根付かせ、トラブルを避けるには、複数キャリア回線の所有など、自衛手段も必要だと呼び掛ける。市民の意識変革を促し、ITへの向き合い方を成熟させることは、デジタル社会の進展に欠かせない。

▼自衛が難しい人を支えるには、政治を巻き込んで制度を整えていくしかない。その点でも報道には、世論喚起などの役割があるはずだ。利用者の不平不満に乗っかっただけの、大上段に構えた企業批判は、お詫び代よりも価値がない。(無)
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