BOOK REVIEW

<BOOK REVIEW>『首都防衛』

2023/09/15 09:00

週刊BCN 2023年09月11日vol.1984掲載

防災意識を高め、万全な備えを

 テレビに映った津波の映像は、今でも鮮明に覚えている。2011年3月11日に発生した東日本大震災。巨大な津波が太平洋沿岸部の街をのみ込み、多くの犠牲者が出た状況は、人々の防災に対する意識を大きく変えたと言っても過言ではないだろう。発生から12年がたち、当時と同じ意識を持ち続けている人はどれだけいるだろうか。

 日本は、外国に比べて災害が発生しやすい国土といわれている。中でも地震は各地で頻発しており、巨大地震が近い将来に発生することが確実視されている。

 本書は、主に首都直下地震と、南海トラフ巨大地震に焦点を当て、東京都内での被害の見通しなどを解説する。23年9月1日で発生から100年となった関東大震災や、1995年1月17日に起きた阪神・淡路大震災で得られた教訓も盛り込まれており、地震発生時の対応策を考える際に活用できる内容になっている。

 地震は予知が難しいと言われており、いつ起こるか分からないのが恐ろしいところだ。巨大地震が発生した場合、被害は東京だけでなく、広範囲に及ぶと指摘されている。「地震大国」といわれる日本に住んでいるからこそ、日頃から防災意識を高め、備えを万全にしておくことが重要だと改めて感じた。(鰹)
 


『首都防衛』
宮地美陽子 著
講談社 刊 1012円(税込)
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