BOOK REVIEW

<BOOK REVIEW>『ピアノトリオ モダンジャズへの入り口』

2024/04/05 09:00

週刊BCN 2024年04月01日vol.2008掲載

ジャズの要となるトリオ

 各ミュージシャンが即興で息を合わせ、アドリブで演奏するジャズには、さまざまな編成のバンドがある。トランペットやサックスなど主役となる楽器は数多くあるが、どのような編成であってもピアノとベース、ドラムからなる「リズムセクション」が、これを支えるのが一般的だ。リズムセクションだけをバンドメンバーとする「ピアノトリオ」も人気の編成。このトリオは時に主役をサポートし、時に自らが主役となって、ジャズの歴史の要として活躍してきた。

 本書はピアニストに焦点を当て、彼らが率いた個性豊かなピアノトリオや名盤を掲載する。紹介するピアニストを聴き比べると、ここぞとばかりに超絶技巧を披露したり、ベースやドラムの魅力を引き出したりするなど、それぞれの性格がよく分かる。

 耳が肥えた人にとってはピアノトリオという切り口から、あまり脚光を浴びていなかった名盤を知るきっかけになる。ジャズにあまりなじみがない人にとってもアドリブ演奏を聴くコツや着目すべき箇所を説明するため、参考になるはずだ。前述の通り、ピアノトリオはあらゆるバンドに関わるため、ジャズ全体を聞くための入門書にもなるだろう。ジャズにチャレンジするための足掛かりにしてほしい。(石)
 


『ピアノトリオ モダンジャズへの入り口』
マイク・モラスキー  著
岩波書店 刊 1034円(税込)
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