BOOK REVIEW

<今週この音楽>『Amizade』

2017/06/21 09:00

週刊BCN 2017年06月12日vol.1681掲載



リズムで感じるブラジルの原風景

 リオデジャネイロで生まれたボサノヴァ。サンバが起源ながら、踊りの音楽というよりも、リオの日常を感じるリズムである。とはいえ、音楽は日々進化するもの。サンバとしつつもボサノヴァの色が濃かったり、ときにはジャズの要素が含まれていたり。そんなブラジル音楽を堪能できるアルバムがある。

 パーカッショニストの大塚裕司さんが、ファーストアルバム「Amizade(アミザーヂ)」をリリースした。アミザーヂは、ブラジルの言葉(ポルトガル語)で「友情」を意味する。

 レコーディングの場所は、リオのスタジオ。プロデュースを担当したドラマーの吉田和雄さんと訪問したレコード会社のスタジオに置かれた録音機材で大いに盛り上がったのがきっかけ。吉田さんの提案でアルバム製作が始まった。アルバムには、大塚さんや吉田さんを慕うリオの著名なミュージシャンが多数参加。まさにアミザーヂの結晶である。カバー写真は、夕陽に浮かび上がるコルコバードのキリスト像。大塚さんが、ヘリコプターに乗って撮影したという。

 大塚さんが演奏する楽器は、クイーカ。打楽器に分類されるが、叩くのではなく、内側にある棒をこすって音を出す。音程を取るのが難しい楽器として知られるが、アルバムの随所で要所を締めるクイーカの音色に、パーカッショニストとしてのセンスを感じる。

 朝食でアミザーヂをかける。いつもと同じ食卓だが、リオにいるような特別気分になった。外に見えるのは、ブラジルの原風景。特別な一日が始まる。(亭)


『Amizade』
大塚裕司
アオラ・コーポレーション
(2315円+税)
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