検証ECビジネス ネットショップのその後

<検証ECビジネス ネットショップのその後>第13回 コンプリート

2002/09/30 16:51

週刊BCN 2002年09月30日vol.959掲載

 東京・秋葉原でパソコンショップ「シグナル」を運営するコンプリート(萩谷克典社長)は、サイトで配信する実店舗の情報を充実することに注力する。桜井孝店長は、「店舗では、サイトで記載した価格より1-2%安く販売している」と、サイトで実店舗の来店者数増加につなげる。サイトのメリットは、実店舗では取り込めない顧客層を開拓できること。同社のサイトでも、関東圏だけなく、地方の顧客層を獲得した。

サイトの実店舗情報で来店者増を狙う

 加えて、「パソコン市場の低迷や郊外に量販店が軒並み出店していることなどの影響で、従来と比べ、秋葉原地区で購入する消費者が少なくなっている。そんななか、いかに当店舗で購入してもらうような仕掛けを作るかが売上高増加のカギ」と強調する。「サイトを閲覧した消費者が店舗に来られる圏内に住んでいれば、ぜひ来店してもらい、接客で顧客ニーズを吸い上げ、購入しようとしていた商品に加え、ほかの商品も販売する」ことを狙う。秋葉原電気街での購入者層が縮小したとはいえ、週末ともなれば人通りは多い。そこで、「週末限定の特売品情報をサイトで配信している」という。

 サイトは、1998年にサービスを開始した。情報を配信するためのツールとして位置づけ、自社でシステムを構築。システムにかかる投資を極力抑えた。サイトを訪れる層は、上級者と中級者で9割を占める。注文は、電話やFAX、メールの形態をとる。納期は翌日納品を徹底する。サイトでは、ノートパソコンやデジタルカメラが売れ筋だ。最近では、外付けハードディスクなども人気を集める。

 パソコン本体の販売については、「今年は、少量発注を頻繁に行うことによる在庫回転率向上や、商品の陳腐化を抑制することが前年よりも順調で、売上高が上回っている」という。同社は、95年11月の設立。店舗販売の事業に加え、卸事業も展開する。「サイトでレーザープリンタを注文する企業も増えている」としており、企業顧客を卸事業で囲い込む。01年10月期は、32億円の売上高だった。今期の売上高は、35億円弱の見通しだ。(佐相彰彦)
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外部リンク

http://www.pcshopsignal.com/