店頭流通

インクジェットプリンタ市場 ハイエンド機が新たな土俵

2002/12/09 16:51

週刊BCN 2002年12月09日vol.969掲載

 インクジェットプリンタの高性能化が加速するにつれてセイコーエプソン、キヤノンの主導権争いが一段と激しさを増している。価格を抑えながら高解像度化と高速化が進行中で、12月第2、第3週末がピークとされる商戦本番でもハイエンドモデルが主役の座につくのは確実だ。その前哨戦となる11月第1週から第3週にかけて、早くも2強がハイエンド市場で激突、週ごとにトップシェアが入れ替わる目まぐるしい動きが続いている。ハイエンドに土俵を移した新たな攻防が、そのままベンダーシェアを大きく左右するのは必至の情勢となってきた。

商戦本番、2強が激しい主導権争い

 電子情報技術産業協会(JEITA)によれば、インクジェットプリンタの国内市場は、2001年は610万台と前年比95%にとどまり、ここ数年続いた拡大路線に終止符を打つ結果となった。

 ただし、高性能化路線は加速中で、BCNランキングによれば、横2400dpi以上の高解像度モデルの占有率は年々飛躍的に上昇、今年11月は94%を占めるまでになった。しかも、インクジェット全体の平均実売価格は年々小幅ながら下落しており、今年11月の平均価格は、前年同月比2000円安の2万5000円で推移。高性能インクジェット機が手頃な価格帯に入ってきたことから、「商戦本番では売れ行きが一段と高まるのは必至。中核商材のひとつ」と期待を込めるショップが大勢を占めている。

 高性能モデルが脚光を浴びるようになったのは、デジタルカメラとの因果関係が見逃せない。「デジカメの主流は、200万画素からワンランク上の300万画素以上へとシフトしつつある。とくに年末は、デジカメで撮影した画像を貼り付けた年賀状をきれいにプリントしたいとのニーズが強まる時期。インクジェット高性能モデルへの買い替え需要が高まっているのは、デジカメの進化と呼応する動き」との見方も、ほぼショップ共通となっている。

 インクジェット市場は、エプソンとキヤノンによる2強が市場を形成し、頭ひとつエプソンがリードする状況が続いている。今回の商戦前哨戦においても、僅差とはいえエプソンがキヤノンをリードしているが、ハイエンドモデルだけに限れば、両社はほぼ拮抗状態にあると見ていい。

 11月第1週から第3週の両社のシェア推移を「インクジェット全体」と、「2400dpi以上」を対象としたハイエンド市場との観点から見ると、前者ではエプソンがキヤノンを上回っているものの、週を追うごとに格差は縮小。第3週のシェアはエプソンの49.8%に対してキヤノンは46.1%で、キヤノンの追い上げが色濃く現われている。

 また「2400dpi以上」では、第1週にキヤノンがエプソンを上回り、その後、エプソンが巻き返すなど、両社がほぼ互角のトップシェア争いを展開している。

 第3週における両社のA4主力モデルは、「PM-930C」と「PIXUS 550i」だが、最上位モデルの「PM-970C」、「PIXUS 950i」も動きを早めていることから、ハイエンド市場を巡る両社の攻防は、今後一段と加熱していくことになるだろう。
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