店頭流通

個人向けパソコンリサイクル 10月1日から実施へ

2003/04/07 16:51

週刊BCN 2003年04月07日vol.985掲載

 経済産業省と環境省は、個人向けパソコンリサイクル制度の実施に向け、関係省令の改正を4月7日の週の早い段階で行うことを明らかにした。これにより、約6か月間の周知期間を経て、10月1日から同制度が実施される。すでに、国内市場から撤退したメーカーのパソコンや自作パソコンなどは、販売台数が少ないという点で、これまでと同様に各自治体で引き取ることになった。回収率は、「制度の実施から1年間で、これまでゴミとして廃棄されていたパソコンの50%は回収できる」(環境省)と踏んでいる。

経産省と環境省、週内に省令改正

 経済産業省では、「省令の改正は、4月7日の週の早い段階で発表する」(川上景一・商務情報政策局情報通信機器課環境リサイクル室長)と話す。環境省でも、「発表は4月7日の週の早い段階。遅れるとすれば、事務処理上の問題だけで、発表することは間違いない」(長門利明・大臣官房廃棄物・リサイクル対策部企画課リサイクル推進室長)と強調する。

 関係省令の改正を経て、個人向けパソコンリサイクル制度の本格的な実施は、「10月1日を予定」(川上室長)、「中途半端な日に行うよりも、切りよく10月1日に実施することになる」(長門室長)としている。

 回収の手順としては、まず消費者がメーカーに申し込み、料金を支払う。消費者は、メーカーが指定する回収場所、もしくは輸送事業者に持ち込むか、戸口回収を依頼。メーカーは個別のルートで回収し、最終的には、再資源化拠点に運びリサイクルを行う。

 消費者が持ち込む、もしくは戸口回収の依頼については、「電話やインターネットなどでメーカーから手続きに必要な書類をもらう」(長門室長)かたちになる。

 輸送事業者については、明らかにしていない。電子情報技術産業協会(JEITA)でも、「4月早々にも発表するため、今は話すことができない」としている。だが、全国の消費者が持ち込む状況を考慮すれば、全国2万4000を超える拠点をもつ「日本郵政公社を採用するのではないか」との見方が強い。

 制度施行前に販売されたパソコンが廃棄時徴収、制度施行後に販売されるパソコンが販売時徴収であるため、その区別については、「制度施行後のパソコンについては、リサイクル費用がパソコンの販売価格に加算されていることが判るようなマークを印刷する」(長門室長)。施行前に発売したパソコンが施行後も在庫として残った場合は、「シールを貼付する」(川上室長)としている。

 米ゲートウェイなど、すでに日本市場から撤退したメーカーのパソコンや、自作パソコンについては、これまでと同様に市町村が廃棄処理に取り組むことになる。

 個人向けパソコンリサイクル制度の法的根拠は、資源有効利用促進法と廃棄物処理法。そのため、メーカーが指定回収場所と再資源化の義務をもつが、かといって市町村も一般廃棄物の計画責務を免除されるわけではない。

 だが、市町村が引き取るとなれば、リサイクルの観点から外れることになる。この点について経産省では、「これまでに販売されたパソコンは、名の通ったメーカーのパソコンが95%程度を占めるといわれている」(川上室長)と、一般廃棄物として処理される可能性が低いことを強調。長門室長も、「現段階では自治体が取り組むことになるが、リサイクルをベースにビジネスの拡大を図ろうというメーカーも出てくるだろう」と分析する。

 JEITAの調べによると、個人向け使用済みパソコンにおける排出先の内訳については、「友人や知人への譲渡」が50%、「中古販売店への転売」が20%、「ゴミとして破棄」が30%。また、今後の個人向けパソコンの廃棄台数については、推計で2003年が約71万台、04年が約88万1000台、05年が約108万7000台と増えていき、2015年には約844万1000台に達するとみている。

 回収率については、「制度施行後から1年間で、『ゴミとして廃棄』のうち50%は回収できる」(長門室長)と強調する。
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