PCリサイクル直前リポート

<PCリサイクル直前リポート>最終回 パソコン販売との相乗効果

2003/09/29 16:51

週刊BCN 2003年09月29日vol.1008掲載

 個人向けパソコンリサイクルの実施が目前に迫り、電子情報技術産業協会(JEITA)をはじめとして業界団体やメーカー、パソコン専門店および家電量販店などが消費者への認知度向上に積極的に取り組んでいる。

 JEITAでは、消費者への認知度向上については、ショップに対してPCリサイクル用のポスターを9月中旬をめどに配布したほか、消費者からの問い合わせに対応するためのマニュアルを作成した。

 これを受けて、ショップでは、実施後に消費者が混乱することを避けるための接客・提案を行う。

 加えて、「PCリサイクルマーク」が貼付されているパソコンは収集運搬料金とリサイクル料金を合わせた回収再資源化料金がかからないことを消費者に訴える。リサイクルマークが貼付されていないパソコンについては、買い取れる商材を下取りに出すことを提案。リサイクルの対象となる商材についてはJEITAの回収スキームで、「廃棄」として排出することを説明する。

 自治体では、JEITAから配布されたポスターを役所などの掲示板に貼ったり、広報誌でパソコンリサイクルの仕組みを解説したりしている。

 メーカーでは、東芝が業界初のリサイクルに対応した製品として「ダイナブックEX」を8月末に発売した。ソーテックもデスクトップ「PCステーション」シリーズや、ノート「ウィンブック」シリーズをリサイクル対応にするなど、冬商戦向けのパソコン新製品を、リサイクル費用を含めた形で9月に前倒しして発売するケースも出ている。

 さらに、パソコンリサイクルの実施により、質の高いパソコンが中古市場に流入する可能性が高いことから、NECがパソコンの買取り事業に参入。デジタルリユースやサイクルヒットなど中古機器専門の卸売り企業が中古ビジネスを強化している。

 このように、パソコンリサイクルの認知度向上を1つの切り口として、各企業がビジネス拡大を図っている。こうした各企業の取り組みによって、消費者がリサイクルの仕組みを把握し、混乱を回避できれば、パソコン市場の拡大にとってもプラスになる。

 実施後のトラブルについては、JEITAとしても起こりうる可能性を見つけ出し、その解決策に取り組んでいる。しかし、「始まってみなければ分からない」という見方も強い。実施後は、中古ビジネスをはじめパソコン販売とリサイクルの相乗効果が表れることに期待したい。(佐相彰彦)
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