全国ショップ激戦図

<全国ショップ激戦図>10.東京・八王子

2004/01/12 18:45

週刊BCN 2004年01月12日vol.1022掲載

 東京都八王子市のムラウチ本店は、固定客の確保に力を入れている。顧客の7割近くが八王子地区の住民であるため、地元密着型のサービスを心がけているという。

地元密着で固定客確保

 具体的には、顧客のニーズを吸い上げるために、店舗に関するアンケートを実施している。店員の接客態度や言葉遣い、商品知識、商品説明などをインターネットや携帯電話、ハガキ、FAXなどを使って意見を集め、対応した店員の実名を記入してもらう。アンケートは1日平均で50件以上送られてくる。

 久島明取締役本店店長は、「顧客から寄せられた声をベースに接客を行っている。来店者は、ほとんどが商品の機能や活用方法についての説明を求めているため、百貨店のような丁寧で親切な接客が重要となる」と話す。

 1日平均の来店者数は、平日が1800-2000人。午前中は、60歳以上の高齢者が大半という。土日の来店者数は6000人前後で、商圏範囲10キロ前後から車を使って来店するファミリー客が多い。

 ファミリー層や高齢者層が多いため、フロア内はゆったりと商品が見られるよう工夫している。ベビーカーがすれ違うことができるように通路を広く確保したり、展示棚の高さを140センチほどにして、女性がちょうど良い高さで商品を見られる環境を整えた。

 また、フロア内ではリビングやプライベートルームなど生活シーンに合わせたデモコーナーを設置。「薄型テレビとDVDレコーダーをセットで購入する顧客も増えた」という。昨年10-12月におけるDVDレコーダーの売上高は前年同期の300%を達成した。

 「接客は20分以内が理想。さまざまな商品を組み合わせたオールインワンの提案は、接客に費やす時間が増える傾向にある。1時間以上かかってしまう場合もある」と、効率化は難しそうだが、「顧客にとっては、“良い買い物をした”と喜ばれることが多い」と、時間をかけたことで、販売増加につながっている面も否定できない。

 久島店長は、「最近は、東京・立川地区の住民が八王子まで足を伸ばすことが少なくなった」と、新規顧客の獲得が難しくなっているという。

 立川駅周辺は、伊勢丹をはじめとして高島屋やグランデュオなど百貨店が集まっており、週末には家族連れで賑わう。家電量販店では、ビックカメラ立川店が店舗を構える。一方、ムラウチ本店はJR八王子駅から徒歩20分程度の場所にあり、「立地条件の面では負ける」と認める。顧客に最適な接客に徹することで競合店との差別化を図っていく。(佐相彰彦)
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