店頭流通

インクジェットプリンタ市場 キヤノンのトップ続く エプソンは大幅なシェア減に

2004/04/19 16:51

週刊BCN 2004年04月19日vol.1036掲載

 2004年のインクジェットプリンタ市場は、キヤノン(御手洗富士夫社長)のトップシェアが続いている。同社は、プリンタとデジタルカメラなどを組み合わせ、家庭内での写真出力をアピールしたことがシェア拡大に功を奏した。一方、昨年まで首位に立っていたセイコーエプソン(草間三郎社長)は、大幅なシェア減少が目立つ。画質の耐久性を追求した「つよインク」の機能性をアピールできず、年賀状需要のピークが過ぎた1月からシェアを落とす結果になった。

 BCNランキングによれば、インクジェットプリンタ市場は今年に入ってから、キヤノンが1月に51.0%のシェアでトップを獲得。以来、2月が58.4%、3月で60.2%とシェアを伸ばしている。

 キヤノン販売の芦澤光二・コンスーママーケティングカンパニー常務取締役プレジデントは、「プリンタをはじめ、デジタルカメラやスキャナ、インクなど消耗品を含めたデジタルフォト市場が年を追うごとに拡大している。こうした需要の増大に合わせた販売施策を実施した」と、シェア拡大の要因を挙げる。

 同社は、家庭内での写真出力を前面に押し出した展示を量販店に提案。冬商戦では、量販店で同社のプリンタとデジカメを同じコーナーで展示することに力を入れた。しかも、「主要店舗に毎日欠かさず営業に回った」(芦澤常務取締役)と、ショップの店員にデジタルフォトの教育を実施することに加え、現場での情報収集を徹底することで、市場ニーズに即した販売や価格設定を可能にしたようだ。

 今後は、「デジカメだけでなく、デジタルビデオカメラとプリンタの親和性を追求する。04年に1兆500億円の市場規模になるといわれているデジタルフォト市場で20%以上のシェアを狙う」(同)方針だ。

 一方、セイコーエプソンは冬商戦に50%前後のシェアを誇っていたものの、今年1月に45.6%にシェアが減少。2月が37.3%、3月が35.9%と減少傾向が続いている。

 要因は、冬商戦モデルで“売り”にしていた「つよインク」の効果をアピールしきれなかった点だ。

 エプソン販売の真道昌良社長は、「家庭内での写真出力が一般的になれば、高画質がユーザーにとってメリットがある」と強調するものの、「数か月経過しなければ効果が表れないということもあり、年賀状の用途以外でプリンタを活用するユーザーを上手く取り込めなかったのは確か」と認める。

 今後は、新規ユーザーの開拓でシェア拡大を狙う。第1弾として、女性層をターゲットにデザイン重視の「カラリオミー(E-100)」を4月23日、ファミリー向けにテレビ接続が可能な「カラリオPM-D1000」を5月に発売する。
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