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液晶ディスプレイの販売動向

2004/06/14 16:51

週刊BCN 2004年06月14日vol.1043掲載

アイ・オー・データ機器が一時トップに

テレビ内蔵LCDが牽引

 パソコン用の液晶ディスプレイ(LCD)市場では、直近6週間のうち週次ベースで2度、アイ・オー・データ機器がNEC三菱電機ビジュアルシステムズ(NMビジュアル)を抜き、販売台数シェアでトップに立った。LCD市場全体が低迷するなかで、アイ・オー・データ機器は、NMビジュアルのラインアップにはない「テレビ接続機能内蔵LCD」が好調に推移。この新商材が牽引してトップ奪取につながった。

 2003年のLCD市場では、BCNランキングで販売台数シェアの差が、トップのNMビジュアルと2位のアイ・オー・データ機器とでは10%前後離れていた。この差を急速に埋めたのはアイ・オー・データ機器が昨年9月、パソコンを起動せずにテレビを視聴できるテレビチューナー付き17型LCD「LCD-TV173C」を発売し、1か月後にも同19型LCDを出してからだ。

 アイ・オー・データ機器の全LCD販売台数に占めるテレビ内蔵LCDの割合は、4月26日-5月2日の週から6週間、常に週次ベースで平均10%台をキープした。販売台数でトップシェアに踊り出た5月3-9日のゴールデンウィーク週には、テレビ内蔵LCDの割合が最大16.6%に達し、4月19-25日の週を100とした指数値でも137にまで伸びた。

 大手パソコン量販店の担当者は、テレビ内蔵LCDが伸びた理由について、「薄型液晶テレビが好調なことが背景にあるのでは」と分析する。アイ・オー・データ機器の「LCD-TV 173C」は定価7万2000円で、量販店での平均単価は6万4800円だが、価格面で17型の薄型液晶テレビと変わらず値頃感があるからだ。そのため一部の消費者は、パソコン用画面としても使えるテレビ内蔵LCDを選択したといえる。

 テレビ内蔵LCDは、アイ・オー・データ機器以外に、シャープやイーヤマ販売など5社からも販売されている。これらメーカーはいずれも直近6週間で販売台数シェアを数%程度伸ばした。ただ、ここにきてテレビ内蔵LCDの一時の勢いは弱まっている。それでも今後、価格割れが起き、再び売れ筋商品として浮上することは予想できる。
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