全国ショップ激戦図

<全国ショップ激戦図>49.静岡・沼津(上)

2004/10/25 18:45

週刊BCN 2004年10月25日vol.1061掲載

 静岡県沼津市では、パソコン専門店がパソコンおよび関連機器の販売に強く、家電量販店が家電機器の販売に強いという“すみ分け”の構図が出来上がっている。

自店の強みを生かす

 沼津市を本拠地とするパソコン専門店のZOAが「OAナガシマ沼津本店」(沼津市大諏訪)を構えており、家電量販店のコジマが「NEW沼津店」(沼津市東熊堂)、ノジマがパソコン関連機器やゲーム関連機器を販売する「沼津店」(沼津市寿町)などを出店している。

 沼津市で白物を中心に家電機器の販売で確固たる地位を築いているのはコジマ。NEW沼津店は、国道1号線沿いにあり、車での来店客が多い。また、店内で通路のスペースを広く確保してベビーカーがすれ違えるようにしていることなどで、土日や祝日になると30歳代のファミリー層が多く来店する。現金還元という低価格戦略によって、来店者は単価の高い大型家電機器を購入する傾向が高いという。さらに、営業時間が10時から21時までと、競合店より開店している時間が長いことで、平日に会社帰りのビジネスマンが来店したり、近隣に住む主婦層が夕食後に乾電池など消耗品を購入するなど、便利さが受けている。

 一方、パソコン専門店であるZOAのOAナガシマ沼津本店では、周辺機器や組立パソコン用パーツを充実させ、パソコンの用途提案に力を注いでいる。売上比率は、周辺機器が全体の約30%。パーツ類も20%程度と高い比率を占める。パソコン上級者の誘致を行うことに加え、分かりやすい接客の徹底で、50歳以上であるパソコン初級者の来店を増やしている。

 沼津市は、各社の出店場所が駅前や幹線道路沿いに密集しているわけではなく、ほかの地域に比べ競争が激化しているというイメージが少ない。しかし、各社とも静岡市や富士市など静岡県内各地で出店していることから、それぞれの商圏が限られてくる。このため、周辺地区からパソコンや家電機器を買うために、わざわざ沼津市まで来るというケースがほとんどない。限られたテリトリーで、いかにリピーターを増やし、優良顧客として獲得できるかが業績を伸ばすカギになる。(佐相彰彦)

  • 1