全国ショップ激戦図

<全国ショップ激戦図>50.静岡・沼津(下)

2004/11/01 18:45

週刊BCN 2004年11月01日vol.1062掲載

 パソコン専門店にはパソコン購入者、家電量販店には家電購入者が来店するというすみ分け傾向がある静岡県沼津市で、パソコンユーザーを最も集めているのがZOAの「OAナガシマ沼津本店」だ。同店で力を入れているのはサポートサービス。サポートメニューを充実させることで競合他社に対する優位性を保ち、高齢者層を中心にパソコン初級者層を顧客として開拓している。

パソコン初級者がターゲット

 サポート強化を図っているのは、「パソコンは普及が進み、コモディティ化が進んでいる。アフターマーケットにビジネス領域がある」(ZOAの長嶋豊社長)という考えからだ。ZOAの各店では、「ZOA安心サポートパック」という名称でサポートサービスを提供している。OAナガシマ沼津本店でもこのサポートサービスが功を奏し、「40歳以上のユーザーが来店するケースが多い」(唐澤孝徳店長)と効果は上々のようだ。

 サポートは、ZOAの店舗で購入したパソコンに「1年保証」(価格は9900円から)と「3年保証」(同1万9800円から)の2つのコースを設けており、25種類以上のサポートメニューを用意した。サポート会員になれば、パソコンの初期設定やパソコンの診断などが受けられる。インターネット関連およびワイヤレス機器への接続設定やパソコン関連の操作指導は別立てで1件あたり1050円に設定した。オプションの「パーフェクト保証」(同9900円)を追加すれば、メモリやHDD(ハードディスク)などの取り付けも行う。インターネット通販や競合店舗で購入したパソコンに関してもサポートを提供。価格は、1年コースが1万4900円(パーフェクト保証なし)、3年コースが2万4800円(同)。

 唐澤店長は、「パソコンを使いこなしたいという高齢者は多い。こうしたニーズに対応していくことが、リピーターの囲い込みにつながる」と強調する。接客もリピーターを増やすための重要項目とし、「デジタルカメラの画像編集など、さまざまなシーンでの使い方を分かりやすく説明する」(唐澤店長)ことを徹底する。これが、ユーザーがパソコンと周辺機器をまとめて購入することにつながってくるという。

 OAナガシマ沼津本店のリピーター率は50%弱。近隣の市町村からパソコン購入のために沼津市を訪れるという客はほとんど見られないことから、「単純に来店者を増やすことは難しい」(唐澤店長)というのが悩み。しかし、「優良顧客の確保とサポート強化で利益率が伸びている」と、ユーザーの囲い込みで収益につなげていく。

 同店の利益率は昨年度(04年3月期)に17%前後だったのが、今年度は18%まで拡大する見通し。売上高見込みは、前年度比2%増で、伸び率は小さい。このため、限られた商圏で確実に業績を伸ばすことが課せられている。(佐相彰彦)
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