石井克美のデジタル家電ナビ

<石井克美のデジタル家電ナビ>16.「ドルビーブランド」を考える(1)

2005/07/25 16:51

週刊BCN 2005年07月25日vol.1098掲載

 1970年代後半にはカセットテープのノイズリダクションシステムとして、そして90年代以降はサラウンド技術の会社として、その名を馳せてきたドルビーラボラトリーズ。  カセットテープデッキのドルビーBノイズリダクション。ヒスノイズのレベルが高く、ダイナミックレンジの狭いカセットテープで音楽を高音質に録音するために必須の存在だった。

 その後、よりノイズ低減効果を高め、高入力時の高域特性を改善したドルビーC、さらに高入力時の歪み特性を全体的に改善するドルビーHXなど、カセットテープの高音質化はドルビーの技術進歩とともに進んだ。

 一方、ドルビーの歴史はサラウンドの歴史でもある。ドルビーは古く光電管でフィルムサイドに刻まれたサウンドトラックの音質を改善する技術の開発を手がけて以来、映画業界向けの音響技術開発で“業界標準”を生み出してきた。

 近年のAV(音響・映像)ソフトやAV機器の普及とともに、映画向け音響技術を家庭向け製品にもライセンスしている。今や「ドルビーデジタル」は、DVDプレーヤーはもちろん、パソコンでも再生できることが当たり前になっている。

 60年代に磁気テープ用のノイズ低減装置を開発したのがドルビーラボラトリーズの始まり。磁気テープにはヒスノイズという物理的に避けられないノイズがあり、これが録音可能な音のダイナミックレンジを制限する一因となっている。

 特に高域のノイズは問題で、周波数帯ごとに最適なレンジに圧縮して録音し、再生時に元に戻してやるのがノイズリダクションの基本的な動作である。ノイズリダクション効果とその弊害のバランスに優れ、性能的にも安定していたのがドルビーの技術だった。

 当初、映画の音声は磁気テープが使われており、そこでのノイズリダクション技術として、ドルビーが採用されていた。しかし磁気テープは耐久性が低く、繰り返し映写しているうちに品質が落ちてしまう。

 そこで、フィルムサイドにサウンドトラックを記録する方式に切り替えられた。サウンドトラックはフィルムサイドに音声を「絵」として焼き込む方式。光電管でサウンドトラックを透過する光量を読み取り、それをアナログ音声信号に変換する。

 光学フィルムに焼き込まれ、非接触のセンサーで読み取るため耐久性は高いが、音質は非常に悪かった。そこで、このサウンドトラックにも、ドルビーの技術が使われるようになったのである。
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