全国ショップ激戦図

<全国ショップ激戦図>87.東名川崎IC周辺(上)

2005/08/01 18:45

週刊BCN 2005年08月01日vol.1099掲載

 神奈川県川崎市宮前区の東名高速道路・東名川崎インターチェンジ(IC)周辺は、パソコンや関連機器の販売で激しい競争が繰り広げられているスポットだ。

車での来店客獲得が勝負

 東名川崎ICにつながる尻手黒川道路沿いには、パソコン専門店のピーシーデポコーポレーションが「PC DEPOT東名川崎店」(川崎市宮前区)を出店。サードウェーブの組立パソコン用パーツショップ「ドスパラ東名川崎店」(川崎市宮前区)も店を構える。

 両店舗とも、東名川崎ICから車で5分以内の場所にあることから、川崎市民だけでなく地方からわざわざ車で来店するケースも多いという。東名川崎IC近くの国道246号線(厚木街道)沿いには、家電量販店のコジマが「NEW梶ヶ谷店」(川崎市高津区)を出店。同店は大型駐車場を完備し、車での来店に便利だ。しかも、JR南武線の武蔵溝ノ口駅からも徒歩圏内にあり、多摩区方面から電車で訪れるユーザーもいるという。

 川崎市西部の多摩区や麻生区は、川崎市の他区と比べ家電量販店やパソコン専門店が少ない。そのため、東名川崎IC近くに出店すれば、高速道路の出入口がある宮前区をはじめ、高津区や多摩区、中原区などの顧客を獲得でき、川崎市でのマーケットシェアを高めることになる。宮前区や高津区などから川崎区まで電車で行くと30分前後はかかる。こういった点でも、同地区に出店するメリットは大きいようだ。

 しかし、ヨドバシカメラが04年3月にJR川崎駅前に「マルチメディア川崎ルフロン」をオープンするなど、最近では川崎市東部に位置する川崎区でパソコンを購入するユーザーも増えてきた。同店は床面積1万4500平方メートル。川崎市の競合店と比べ圧倒的な売り場面積を誇っていることから、「まずはヨドバシカメラに行ってみる」という意識が浸透し始めた。ヨドバシカメラの大型店の出現で、川崎市の郊外で出店するショップが少なからずダメージを受けているのは確実だ。

 このためパソコン専門店では、川崎駅方面まで行かなくても、自宅近くでパソコンや関連機器が購入できることを周辺住民にアピールすることに力を注いでいる。ピーシーデポコーポレーションは、厚木街道沿いでしかも交通量が多い府中街道との交差点近くに「PC DEPOT溝ノ口246号店」(川崎市高津区)を7月16日にオープンした。同店は「PC DEPOT東名川崎店」と5キロメートル程度しか離れていない。ドミナント(高密度多店舗)戦略で顧客の囲い込みと開拓を徹底し、競合店との戦いに勝つ方針なのだ。(佐相彰彦)
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