秋葉原は今

<秋葉原は今>11.石丸電気、店舗再編が完了

2006/02/06 16:51

週刊BCN 2006年02月06日vol.1124掲載

 秋葉原電気街に店を構える家電量販店やパソコン専門店の多くが競争激化のなかで課題の1つにあげているのは、新規客層に向けた店舗づくりだ。高まる街の集客力を追い風に新規顧客を取り込むには、新しい商材を増やすことに加え、店のコンセプトを一新する大規模なリニューアルが必要となるケースもあるだろう。

 多くのショップが新規顧客の開拓に向けたリニューアルを試行錯誤しているなか、大手家電量販店の石丸電気が店舗の位置づけを抜本的に再編した。各店舗を“何でも揃う量販店”との枠から脱却、1つのカテゴリーに特化した「専門店」としてリニューアルし、今年度(06年3月期)から実践していく。「昨年末で当社が描くコンセプトづくりが一段落した」(辻村周一・営業本部販売企画部部長)と自信をみせる。

 具体的には、大型量販店として家電やパソコンなど多くの商品を扱っていた「本店」と「1号店」「駅前店」の3店舗を、家電や照明器具を扱う「本店」、免税店の「駅前店」、AV(音響・映像)機器を中心とした「1号店」とした。CDやDVDなどの総合ソフト館「SOFT1」「SOFT2」「SOFT3」は、「SOFT1」を総合ソフト専門店として残し、「SOFT2」をクラシックとジャズの専門店、「SOFT3」をエンタテインメント性の強いソフトを販売するショップに切り替えた。ほかにも、高級オーディオに特化した「レフィーノ&アネーロ」や、携帯電話や携帯型ネットワークオーディオなどモバイル機器の専門店「AKIba station PLAza」を新規オープンしている。

 大規模なリニューアルに踏み切ったのは、「店のコンセプトが似ているがゆえに、店舗同士が自社の客を奪い合うケースが顕在化したため」だ。各店舗の顧客が重ならないようにするためには、店のコンセプトを変えることが最適と判断した、というわけだ。しかも、電気街を本拠地に置く家電量販店にとって強敵であるヨドバシカメラが日本最大級の売場面積と品揃えを売りとする「マルチメディアAkiba」で秋葉原進出を遂げたことも影響しているといえる。「1店舗で勝負するのであれば、強敵になるだろう。しかし、専門性の強い店の集合体で幅広い客層を獲得できる仕組みをつくれば十分に対抗できる」と牽制する。(佐相彰彦)
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