臨界点

インターネット 代表取締役社長 村上 昇

2006/03/20 18:45

週刊BCN 2006年03月20日vol.1130掲載

 3年連続ナンバーワン――。インターネットは、2003年から3年連続でBCNランキングのサウンド関連ソフト部門で、年間販売実績トップを誇る。主軸商品である音楽・楽譜作成ソフトのほか、音楽編集・管理ソフトの販売も好調で、今年は昨年以上のシェアを獲得している。携帯オーディオプレイヤーの普及により、PCで音楽を編集・管理するニーズが強まっている。そんななか、音楽関連ソフトの開発・販売に特化するトップメーカーは、市場をどう分析し、ビジネス拡大を図るつもりなのか。 木村剛士/文 掛川雅也/写真

3年連続トップメーカーが挑む市場開拓 サウンド関連ソフトをメジャーに育てる

 ――BCNランキングのサウンド関連ソフト部門で、2003年から3年連続で年間販売本数トップを獲得した。好調を持続できる理由は。

 「主軸商品の音楽・楽譜作成ソフト『Singer Song Writer(シンガー ソング ライター)』は、17年ほど前に開発を始めそれ以来機能拡張を図り続けている。音楽編集・管理ソフトを手がけているソフトメーカーはあるが、“音を作るソフト”を開発しているメーカーは今では当社以外にない。合計で50万本以上の販売実績があり、音楽・楽譜作成ソフトの唯一のメーカーであることと、長年の開発実績が評価されているから、ここまで販売が伸び、今も売れ続けているのだろう」


 ――ただ、音楽をPCで作るというニーズは、まだニッチな市場という印象がある。

 「確かにその通りだ。『パソコンで音楽を作れる、楽譜を書ける』ということを知っている一般消費者が少なすぎる。販売を伸ばすためには、まずたくさんの人にこのようなソフトがあることを知ってもらうことが重要だ。地道に音楽作成ソフトの認知度を高め、市場を広げていくつもりだ」

 ――シンガーソングライターだけでなく、音楽加工編集・管理ソフトの「sound it!(サウンドイット!)」も販売は順調だ。

 「今年、昨年以上のシェアを獲っている理由はサウンドイット!が着実に販売を伸ばしているからだ。『iPod』など携帯オーディオプレイヤーの普及によりPCで音楽を楽しむ人は着実に増えており、それが販売増加に結びついている」

 ――携帯オーディオプレイヤーメーカーは、音楽管理のためのソフトを無償配布している。販売を伸ばすための障壁にならないか。

 「ならない。機能が違う。携帯オーディオプレイヤーメーカーが無償配布するソフトは、単純に音楽データを一覧表示したり、ジャンルに合わせてカテゴライズしたり、管理機能だけだ。当社の製品は、音楽を管理するだけでなく、データに新しい音を加えたり、音を調整したりといった編集機能が加わっていることが強みだ。携帯オーディオプレイヤーメーカーのソフトはあくまで音楽データを管理するのみ。当社の製品は、音楽加工・編集ソフトで十分差別化ができており、無償の管理ソフトが競合になることはない」

 ――両製品ともに、販売チャネルで重要視するのは。

 「店頭だ。ネット通販も行っているが、一般消費者が買い求める場所は、やはり店頭が大きな割合を占めている。シンガーソングライターの購入者の約90%は、パソコンショップや家電量販店などの店頭で買っている。

 ダウンロード販売を強化しているメーカーも多いが、当社の製品は、高度な機能を複数搭載しているため、マニュアルが厚く、ダウンロード販売には向かない。今も行っておらず、今後もやる計画はない。引き続き店頭を強化する」

 ――昨年は年間の販売本数シェアが17.7%で、過去最高の数値を記録した。今年は何%獲りにいく。

 「最低限20%は超えたい。ただ、目先のシェアよりも市場を広げることを優先したい。このジャンルのソフトを知っている一般消費者が少なすぎるのが最大の課題だからだ。ソフトやこのジャンルの知名度があがれば、シェアは後からついてくる」

DATA FILE
■「sound it!」がシェアをけん引

 図では、BCNランキング最新の週次データ(2月27日-3月5日)をもとに、サウンド関連ソフトのメーカー別販売本数シェアを表した。

 インターネットは、2位のソースネクストに13.6ポイントの差をつけトップシェアをとっている。年間の販売本数ナンバーワンを表彰する「BCN AWARD」で、インターネットは3年連続で最優秀賞を獲得しており、同市場でトップメーカーの地位を確立しつつある。2005年の販売本数シェアは、3年間のなかでもっとも高い17.7%を獲得した。

 インターネットのメイン商品は、音楽・楽譜作成ソフト「Singer Song Writer」だが、シェアを伸ばしている背景には、音楽データの編集・加工ソフトの「sound it!」の好調さも寄与している。同製品は、製品別販売本数シェアでトップを獲っており、けん引役に成長している。

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