店頭流通

ロジテック エレコム傘下で製品開発の新体制を確立 ネットワーク・AV関連商品のトップメーカーを目指す

2006/03/20 18:45

週刊BCN 2006年03月20日vol.1130掲載

 ロジテックがエレコムグループの一員として新たなスタートを切って早や1年、ストレージ商品の新展開に加えて、ネットワーク事業を本格化するなど、新事業戦略が軌道に乗ってきた。今後の周辺機器ビジネスの方向性を、ロジテック開発部商品開発グループマネージャー・荒木徹氏に尋ねた。

 2004年末のエレコム傘下での新たなスタートは、ロジテックの商品開発にも大きな変化をもたらした。長らく技術主導による商品開発を特徴としてきたロジテックにとって、「全国レベルで営業情報が潤沢に入ってくる」ことは新鮮な驚きであり、「マーケットを見据えた真の商品開発」(荒木マネージャー)を可能にした。

 新体制における商品開発では、「営業その他さまざまなセクションの幹部を集めた新商品開発検討会の承認を経たうえで新商品開発を行う」ことが鉄則となった。これは商品の方向性を企業として意思統一するものだが、商品開発のフレキシブル性を損なう恐れもあった。

 しかし実際に開発検討会を重ねるにつれて「開発側としてはより自信のある商品企画に絞り込むことにつながり、営業にとっては自分たちの意見を反映した商品開発につながる」ということで、全社的なコンセンサスの下での商品開発が可能になった。

 つまり、商品アイテムが拡大する一方の周辺機器ビジネスにおいて「メーカーとして一本筋の通った商品展開」が可能になった。これがエレコム/ロジテック連合の最大の成果といえる。

 このような新開発体制の下、市場へ出す商品にも着実に変化が生じている。

 最大の変化は「ロジテックならではの商品開発を徹底するとともに、商品の独自性および優位性をユーザーに理解されやすい形でアピールする」という企業姿勢だ。ロジテックは従来から技術重視に裏づけされた独自商品開発で知られているが、その優位性をユーザーに正しく認識されることが必要と判断した。

 ロジテックが得意とするHDDを例にとると、「外付け2.5インチ耐衝撃モデルでは品質・販売実績ともにロジテックがナンバーワン」であり、耐衝撃性以外に大型ヒートシンクによる熱放出や簡単セキュリティなどのオリジナル機能が付加されている。

 現在の外付けHDDマーケットは、まだ従来型の3.5インチが主流だ。新型2.5インチの出荷は3.5インチの3分の1程度だが、いずれ2.5インチが逆転するとみられる。

 HDDの大容量化はさらに進む。「現在は500GBがMAX容量の3.5インチが、今年中に800GBになる。2.5インチのMAX120GBは年内に160GBになる」との予測で、SATA環境への移行も大きなビジネスチャンスとなる。「PC環境や情報家電の進化を考慮すると、さまざまな分野でストレージ機能がさらに重要になる」との判断で、ストレージ事業は今後も同社ビジネスの重要な柱とすることに揺るぎはない。

 しかし、ストレージ以上にロジテックが期待するのがネットワーク・AV関連商品だ。ネットワーク商品については従来から手がけてはいたが、エレコムのLANブランドであるLANEEDとの統合によって商品ラインアップを一気に拡充、「SkyLink」ブランドとして新たなスタートを切った。

 その第1弾が3月から4月にかけて続々と商品化される予定で、中でも注目を集めているのが無線アクセスポイント「LAN─WAGE/AP」。すでに無線アクセスポイントは珍しくないが、「1台ユース以外に、HUBをカスケードするイメージで無線アクセスポイントをカスケード接続していくことで、簡単低コストでの無線ネットワーク網拡大が可能」なことが最大のアピールポイントだ。

 このように「他社にはないロジテックならではの商品作り」はネットワーク商品においても徹底する。

 「100BASEスイッチングHUBにおいても、PoE(Power over Ethernet)給電を実現しながら4ポートで2万円を切る価格を実現」するなど、市場の要望を徹底調査し、これに応える商品群を提供していく方針だ。

 「今年はネットワーク・AV関連商品がストレージ以上に伸びる」と判断、この分野におけるトップメーカーを目指す。
  • 1