店頭流通

「脳の活性化」がトレンドに トレーニングソフト市場、プラス成長を持続 メディアカイトとインターチャネルが躍進

2006/04/24 16:51

週刊BCN 2006年04月24日vol.1135掲載

 トレーニングソフトの市場拡大が続いている。2005年前半までは伸びを欠いていたが、夏期商戦と前後して需要は好転、ほぼ1年にわたり前年同月実績を上回るプラス成長を持続する。なかでも脳の活性化に向けたトレーニングソフトが好調で、トレンドのひとつになりつつある。

 BCNランキングでは、トレーニングソフトを①タイピング②エクセルや画像処理操作などのスキルアップ③速読や脳のトレーニングと、大きく3アイテムに区分している。速読や脳のトレーニングソフトの販売構成比は、05年3月が5.2%であったのに対して、今年3月は33.5%と大幅に拡大。トレーニングソフト市場の拡大に大きく寄与するようになった。

 トレーニングソフトの主力アイテムは、ここ1年で大きな変化を遂げている。

 昨年3月の時点で上位にランクインしていた製品は、タイピングソフトが大勢を占めたが、今年1月からはインターチャネルの「脳力トレーナー」が首位の座をキープ。3月には「脳力トレーナー」(10.5%)が、2位のソースネクスト「特打 説明扉付きスリムパッケージ版」に5.4ポイント差をつけてトップに。脳の活性化に照準をあてたソフトが、トレンドのひとつとなりつつある。

 インターチャネルが昨年2月に発売した「脳力トレーナー」は、東北大学川島隆太教授監修によるもの。当時、脳のトレーニングをテーマにした大人向けの書籍がベストセラーになったことや、セガが大人向けに脳活性の玩具を発売してヒットしたことを受けて、セガトイズと共同開発した。発売直後からユーザーに受け入れられ、「引き続き好調な売れ行きを維持している」(渡辺和仁・インターチャネル・デジタル・パブリッシング事業部教育開発グループチーフ)ヒット商品となった。

 速読や脳のトレーニングソフトのメーカー別シェア(06年3月)をみると、メディアカイトが48.2%で首位、2位はインターチャネルで37.3%となっている。メディアカイトは男性をメインターゲットに1980円の低価格ソフト「おやじの挑戦」シリーズや、「おやじの活力」シリーズなどを04年11月からリリース。発売開始時点では、スキルアップ系ソフトが中心で、脳のトレーニング系ソフトはラインアップしていなかった。その後、05年4月に「おやじの挑戦 男の右脳ドリル」を発売し、ラインアップを拡充した。現在では「おやじの挑戦 男の右脳ドリルシリーズ」などの脳トレーニングソフトの伸長率が一番高く、「ここ半年で前年比2-3倍の勢い」(宇田智和・メディアカイト・営業部部長)。今年度(8月期)の売上高は、これらが寄与して前年比2倍に拡大する見込みだ。

 トレーニングソフトは、店頭での販売比率が高いことに加え、「ニンテンドーDS」で人気のソフトならば、PC用ソフトでも売れるという傾向が続いている。このため店側でも、PCソフト売り場でトレーニングコーナーを拡大する動きが現れている。

 メディアカイトの宇田部長は、「脳のトレーニングソフトの人気は一過性ではなく、市場に定着していく」と確信。「5-6月にかけて集中的に10製品ほどを追加」して、ラインアップを拡充する方針。低価格の「おやじ」シリーズは現在全36タイトルで、ユーザーの間口を広げることが狙いだが、今後は、従来路線とは異なる切り口によって、脳のトレーニングソフトの需要拡大を促していく。

 一方、インターチャネルは、「ニンテンドーDS」およびパソコン向けに提供している「右脳鍛錬ウノタン 高める記憶力」シリーズも好調な売れ行きを示し、「特にニンテンドーDS版は初回受注分で、パソコン版が1年間に販売した本数の4-5倍に達した」(山下賢一・インターチャネル・デジタル・パブリッシング事業部PCコンテンツグループチーフ)ほどの勢いだった。ニンテンドーDSが「ソフトのプラットフォームとして成長過程にある」ことから、今年度は、ニンテンドーDS向けソフトに力を入れていく方針。パソコンソフトを中心とした製品展開ではなく、「パソコンを1つの提供媒体として捉えていく」(渡辺チーフ)計画で、今後はすでに発売したエンターテインメント性の高いソフトをリメイクしてニンテンドーDSに提供する予定だ。
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