店頭流通

東芝 DVDレコーダー 次世代機で先駆け HD DVD、07-08年度に普及加速

2006/07/03 18:45

週刊BCN 2006年07月03日vol.1144掲載

 東芝は6月22日、HD DVD搭載ハードディスクレコーダー「RD-A1」(希望小売価格39万8000円)を7月14日から発売すると発表した。次世代DVD規格のレコーダーとして世界初の投入となる。今年12月末までに1万台の販売を目指し、ラインアップの拡充についても検討していく。

 東芝は、HD DVDレコーダーの市場動向を、「2007年度から08年度が本格的な切り替え期」(藤井美英・東芝執行役上席常務・デジタルメディアネットワーク社社長)と予測しており、今後は本格的に市場が伸びていくとみている。

 今年中にHD DVDレコーダーの大幅な需要拡大は見込めないが、年末までの販売目標1万台は、「決して小さい数字ではない」(伊藤眞一・デジタルAV事業部DAV商品企画部部長)と、胸を張る。競合陣営は、「製品を出すと言いながらまだ出していない」状況であるため、まずは同社が次世代機で先鞭をつけたことを強調する。

 希望小売価格は39万8000円で、現状では普及に弾みがつく価格帯ではないが、社内では当初、「下は19万8000円から上は99万8000円まで候補にあがった。価格設定が悩みどころだった」と振り返る。

 実際に普及の目安となる価格については、「今の段階で、将来的には15万円台に下がると表明したら、誰も買わない」(藤井・デジタルメディアネットワーク社社長)と、明言を避けた。

 希望小売価格については、「採算のとれる範囲」(伊藤部長)とみる。しかし、「仮にBD(ブルーレイディスク)陣営がHD DVDレコーダーよりも低価格で投入してきたら、今後の製品展開のなかで考える」とコメントした。競合陣営の出方が価格動向のカギを握っているといえそうだ。

 同社は、DVDレコーダー市場の動向について、HD DVDレコーダーの本格的な立ち上がりは来年度以降であることや、現行のレコーダーが「昨年度、予想以上に薄型テレビに食われた」ことから、今年度は「前年度比横ばいか微増程度」と控えめに見ている。

 DVDレコーダー市場(BCNランキング)をみると、今年4月までの前年同月比推移ではマイナス成長が続き、5月にプラス転じた。このプラス転換について東芝は、サッカーワールドカップによる特需で「一時的なものだろう」とみている。しかし、今回のHD DVDレコーダーの誕生により、次世代DVDレコーダー市場が本格的に立ち上がることになる。「DVDレコーダー市場が今後10-15年と伸長していくための起爆剤になる」(藤井社長)と、HD DVDへの期待を表明している。
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