11月17日、ジャストシステムは一般消費者向けにセキュリティソフトの販売を開始した。市場ではトップ2社のシェアは揺がず、低価格製品に人気が集まっている状況。来年にはマイクロソフトが進出する予定もある。成長分野とはいえ、こんな激戦区はない。それにもかかわらず、市場参入を決断し、どう対抗しようというのか。マーケットの調査・研究から製品企画、販売までを指揮する横井太輔リーダは、実は5年前から準備を重ね、虎視眈々とこのタイミングを待っていたのだ。

最高峰のセキュリティを日本へ ブランド力と顧客基盤生かす

 ――市場への参入を決めた理由は。

 「最高の技術力を一般消費者に届けたかった。日本のセキュリティソフト市場は、ブランドと価格だけでしか評価されていない。この現状を打ち破りたかった」

 ――これまでのジャストシステムの事業のなかで異色だ。社内では反対意見もあったのではないか。

 「『なぜセキュリティなのか』など、いろいろな議論はあった。ただ、ジャストシステムの方針は、高い技術力を全世界のユーザーに提供すること。自社開発した技術・プロダクトを世界中に販売するとともに、世界にある最高の技術を日本のユーザーに提供することも使命だ。したがって、方針に合っている。議論を重ねたうえでの参入だ」

 ――なぜカスペルスキー製品なのか。

 「高い技術力を持つからだ。他社製品で見つからない不正プログラムもカスペルスキーの技術では容易に見つかる。実際、私も大手他社製品を使っていたが、カスペルスキー製ソフトでいくつも不正プログラムを発見した経験がある。防御技術は最高峰。カスペルスキーでなければ市場参入はあり得なかった」

 ――主力の統合型セキュリティソフトは、通常版で1万2800円と他社製品に比べてかなり高い。受け入れられるのか。

 「ターゲットは、毎日2時間以上インターネットを使うヘビーユーザーとした。オンラインバンキングやネットオークション、ネット通販を利用する一般消費者は、価格が高くても最高峰の防御技術を使いたいと思っている。この層にしっかりとメッセージを伝えれば受け入れてもらえる。すでにセキュリティソフトに詳しい一般消費者のブログでは、高い技術力を評価してくれている記事が多数出ている。予約販売では1000本を超えた。大手3社のように、広く市場にアプローチするのではなく、ヘビーユーザーを対象とすることで、高価格でも評価してもらえるはずだ」

 ――高い技術力を持っていても、シェアを高められなかったベンダーもいるが。

 「ジャストシステムの培ったブランド力が生きる。オフィスソフトなどで実績がある当社が扱うソフトということで、ユーザーに安心感を与えられるはずだ。これまでの参入企業とは違う」

 ――どう売るのか。

 「店頭販売、OEM供給もしながら、ジャストシステムの500万人を超えるカスタマーベースも生かす。『一太郎』や『花子』を購入してくれたユーザーにDMなどで紹介し、60日間のフル機能期間限定版を利用してもらう。技術力には自信がある。認知してもらい、使ってもらうことに集中する」

 ――販売目標は。

 「まずは発売後1年間で店頭シェア5%の獲得を目指す」

 ――法人向けの展開は。

 「すでに企業から数件問い合わせがきている。来年の春には始める予定だ」

Corporate PROFILE

 10月3日、ジャストシステムはセキュリティソフト市場への参入を発表。11月17日から販売を開始した。ネット予約では、11月の上旬時点で1000本以上の注文があったという。投入した製品は2モデルで、統合型セキュリティソフトの「Kaspersky Internet Security 6.0」(価格は1万2800円)と、ウイルス対策ソフト「Kaspersky Anti─Virus 6.0」(同8800円)。開発元はロシアのセキュリティソフトメーカーのカスペルスキーラブズ。パッケージには、カスペルスキーラブズ創業者の写真を使い他社との差別化を図った。