店頭流通

ソースネクスト 「次の常識」、USB版ソフト発売 店頭のソフト流通を大改革

2008/09/08 18:45

週刊BCN 2008年09月08日vol.1250掲載

 ソースネクスト(松田憲幸社長)は、店頭のソフト流通を変革する「次の常識」と銘打った新たな一手を打ち出した。PCソフトを収録する媒体をCD-ROMからUSBメモリに変え、パッケージの箱を省スペース化した。ディスクドライブのないPCでもインストールが可能になり、店頭で場所を取らないためソフト売り場以外にも展示できるメリットがある。収録媒体のコストは上がるものの価格は据え置く。「両媒体を合算したグロス(本数ベース)換算で、従来と比べて最低で1.2倍は増やせる」(松田社長)と、売上高拡大への貢献度も大きいとみている。

 今回ソフトを収録した媒体は、1GBのUSBメモリ。価格は「コストアップする分の上乗せはせず、据え置く」(松田社長)として、CD-ROM/DVD-ROM版と同額に設定した。家電量販店を中心にしたUSB版の発売は9月5日で、主力7タイトルを出す。最初に販売開始するのは、「ウイルスセキュリティZERO」(標準価格4980円)、「筆王ZERO」(同4980円)、「携快電話ZERO」(同4980円)などで、全ソフトの年間販売本数の70%を占める主力製品。さらに10月3日には13タイトル、年内には30タイトルを出荷開始し、初年度100万本の販売を目指す。

 同社は2003年以降、PCソフトが日用品と同様に身近になることを目指して「コモディティ化」戦略を開始。PCソフト価格を「1980円」の格安にしたり、更新料不要のセキュリティソフトを出すなど、店頭ソフト流通の常識を覆してきた。今回は2か月前に社員からあげられた提案を具現化したもので、PCソフトをUSBメモリに収録し、同社で「販売メディアの常識を変える『Uメモ』戦略」として打ち出した。

 収録媒体をUSBメモリにしたのは、ミニノートPCやウルトラPCなど、ディスクドライブを持たないPCが普及し始め、ほぼすべてに搭載されているUSBポートに対応させるためだ。USB端子なら、ディスクドライブが不要でネット購入時の代金支払い手続きなどの煩わしさも排除できる。また、家電量販店を中心にして販売店のソフト売り場が年々狭くなっていることから、箱を省スペース型にすることで、ソフト売り場以外にもPCやサプライ、携帯電話など、さまざまな売り場に置いてもらえる可能性があると判断した。

 USB版のソフトは、同社が小型化した従前のパッケージ箱と比較してもサイズダウンしており、最近進出したコンビニなどで「ボールペンや化粧品などと同じ陳列棚へ置ける」(松田社長)と、ホームセンターやドラッグストアなどへも商流を拡大できるとみている。一方の収録媒体の価格だが、CD-ROM版が1枚当り数十円に対し、USB版なら数百円になる。ただ、「USBも低価格化してきているため、さらに製造原価は下げられる」(同)と価格を据え置いた理由を説明する。

 すでに受注を開始した同社によると、家電量販店からの発注は、CD-ROM版が3割に対し、USB版が7割に達した。この反響を見て、松田社長は「全媒体を合わせソフトの販売本数は、ミニマムで従来の1.2倍、良くて1.5倍になる」と、目標数を提示した。同社は将来的に、日本のソフトベンダーがなし得ていない海外進出を狙っている。このため、海外で通用する自社開発ソフトを2010年までに出すことを公表している。「自社開発ソフトで海外進出する前に、USB版ソフトが海外で差別化要素になり得る」と、USB版をもって海外進出することも示唆している。
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