店頭販売奮闘記

【店頭販売奮闘記】日本ヒューレット・パッカード (上) 量販店でのPC販売は「ゼロからのスタート」

2009/09/29 18:45

週刊BCN 2009年09月28日vol.1302掲載

 このコーナーでは、店頭販売に注力するメーカーの販売第一線の動きを紹介する。(上)では各社の販売戦略や体制を、(下)では現場の奮闘ぶりを追う。

 「ほとんどゼロからのスタート」。日本ヒューレット・パッカード(日本HP)の山崎健・パーソナルシステムズ事業統括モバイル&コンシューマビジネス本部コンシューマ営業グループ担当部長は、量販店ビジネス再参入の状況を振り返る。

 同社は、2002年のコンパックとの合併後、日本市場でのコンシューマ向けPC販売から撤退していたが、06年6月にコンシューマ向けノートPC、翌年07年3月にデスクトップを同社直販で販売を開始。昨年08年5月には、6年の空白を経て量販店でのPC販売を再開した。

 過去に量販店でPC販売を行っていた同社だが、再開を決めた時点でそのノウハウをもっていた人材はほとんどいない状況だった。そこで、プリンタ部隊で量販店向け営業を担当していた山崎氏が、07年11月にパソコン部隊に異動、再参入に向けての取り組みを開始したのだ。当時、山崎氏一人で担っていたが、現在は数名の組織で運営。拠点は荻窪事業所(東京・杉並区)に置いている。

 08年5月の再参入にあたって同社のPCの販売を開始したのは、ヨドバシカメラ、ビックカメラ、ソフマップ。一気に量販店を開拓するのではなく、慎重な姿勢で臨んでいる。過去に撤退した苦い思いを背負っていることもあり、様子をみながら段階的に拡大させていく考えだ。最近では、8月に上新電機の一部店舗での販売を開始している。

 同社が目指すのは、販売店や一般消費者に「信頼してもらえるメーカーになること」。そして、「売っていただいている人たちに、ファンになってもらう」ことだ。そのために、販売店とのコミュニケーションに力を入れている。

 現在は、コンシューマ向けPC市場での「シェアは3%いくかどうか」だが、「今後3年以内に7%に伸長させたい」考えだ。プリンタ部隊と連携し「パソコンとプリンタがそれぞれ世界シェアナンバーワンであるという最大の強み」をアピールしていくなど、「やるべきことはたくさんある」と意気込んでいる。(田沢理恵)
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