本連載「頂上熱戦」では、2社のIT・家電メーカーに“同じ内容の質問”を投げかけ、その回答を紹介する。(前編)では「製品戦略」を、(後編)では「販売戦略」を問う。
Question. 販売戦略は?
【共通質問事項】 (1)現在の市場 (2)販売施策 (3)今後の目標
Answer.バッファロー  |
齋藤琢也氏 ストレージ事業部 STマーケティンググループ |
(1)【現在の市場】現在、USBメモリの部材であるフラッシュメモリが値上がりしている。iPadなどの人気でフラッシュメモリ需要が高まれば、今後さらに値上がりする可能性がある。この影響で、メーカーが商品の価格を下げにくい状況になっている。当社も大きく下げる予定はない。
(2)【販売施策】量販店の特価品用の廉価モデルから、女性向けモデル、PCに挿したまま使える超小型モデルなどの高付加価値モデルまで、豊富なラインアップを揃え、トータルでシェアを獲得するのが当社の戦略だ。特徴あるラインアップが揃っているほうが、消費者が製品を選びやすいし、売り場もつくりやすい。多くの店舗では、まず当社の製品を並べてから、余ったスペースを他のメーカーの製品で埋めるといった売り場づくりをしているようだ。豊富なラインアップは、店頭スペースの確保と展示のバリエーションでも強みになる。
(3)【今後の目標】USBメモリの市場は、一昨年から縮小傾向にある。パソコンユーザーは、iPhoneなどのスマートフォンやiPadなどのタブレットデバイスに移行していて、USBメモリ市場に大きく影響するパソコンの販売台数が今後どれだけ伸びるか、読めない状況だ。USBメモリ市場はすでにひと回りしており、新規ユーザーはあまり見込めないことから、2010年も厳しいとみている。そのなかでも前年の販売数量を維持し、高付加価値のラインアップを追加して平均単価を上げていくことが、今後の目標だ。
Answer.ソニー  |
白髭誠二氏 メディア・バッテリー& AVペリフェラルマーケティング部 メディア・バッテリーマーケティング課 マーケティングマネジャー |
(1)【現在の市場】09年初頭からのフラッシュメモリの価格高騰で、現在、メーカーは安価な製品を投入しにくくなっている。値上がり以前は、当社の製品は他社製品に比べて抜きん出て高価だったが、ここ1年ほどで価格差が詰まってきた。これにあわせて、2009年2月からは、当社のシェアが上昇している。価格にそれほど差がないことで、消費者は信頼できるブランドとして当社の製品を選んでくれているようだ。
(2)【販売施策】家電量販店のUSBメモリ売り場では、製品本体ではなく、ダミーカードを展示している場合が多い。したがって、店頭での施策は、ダミーカードの容量表示をわかりやすくするなど、限られてくる。そこで当社は、製品だけでなく、その後の使い勝手も提供することで、他社との差異化を図っている。具体的には、2010年の5月13日から、メモリースティック、SDカードで提供して好評だった購入特典を、USBメモリにも適用した。同社サイトのUSBメモリの製品ページから、モデル名と製造ロット番号を入力すれば、データ復旧ソフト「Memory Card File Rescue」と、写真からビデオクリップを自動作成するソフト「x-Pict Story for Memory Card」を無料でダウンロードできる。
(3)【今後の目標】2010年4月時点でも、フラッシュメモリの価格は落ちていない。依然として新製品を出しずらい状況が続いている。そのなかでも、2010年は数量・金額ともに前年をクリアしたい。
(武井美野里が担当)