三菱電機は、液晶テレビや冷蔵庫、炊飯器、ルームエアコンなど、家電製品群の共通コンセプトとして、子どもからシニアまでがらくに使える「らく楽アシスト」を打ち出した。液晶テレビでは、自動で画面の角度が変えられる「オートターン」や使いやすいリモコンなど、冷蔵庫では、最上段や最下段の棚の出し入れがしやすい「回るん棚&動くん棚」などがこれにあたる。家電製品の高機能・多機能化が進むなかで、誰もがらくに使いこなせることを前面に押し出し、ユーザー獲得につなげていく。(取材・文/田沢理恵)

共通コンセプトでシナジー図る
操作性を強みにユーザー獲得

Q 共通コンセプトの狙いは?

 「各種の家電製品は、製品ごとにマーケティングを行って商品戦略を練るが、ホームユースがメインで、ユーザー層が重なっているものが多い。それなら共通コンセプトを打ち出して、製品群の特徴をアプローチすることで、シナジーを発揮したいと考えた」


Q その共通コンセプトを「らく楽アシスト」とした理由を聞かせてほしい。

 「家電製品は高機能、多機能化が進んでいる。一方で、ユーザーからは『操作が難しくて使いこなせない』という声も聞かれる。高齢化社会にあってユーザーの年齢層が上がっていくなかで、高度な機能を誰もが楽に使えることが必要だと感じた。ユーザーの、操作性への不満を解消していきたい」

Q 訴求する製品は、白物家電から液晶テレビまでと幅広い。どのようにアプローチするのか。

 「エアコンや冷蔵庫では、トップグループのポジションを築いてきたと自負している。しかし、液晶テレビや掃除機などは、それほど高いシェアは獲得できていない。製品ごとにみていけば、HDDとBDレコーダー搭載の液晶テレビ「REAL BHRシリーズ」や蒸気レス炊飯器が注目を集めているし、25年ぶりに掃除機のブランド『風神』を復活させて、攻勢をかけるなど、ここにきて特徴のある製品を投入している。これらブランド力のある製品を『らく楽アシスト』という横軸で束ねることで、家電製品全体のイメージアップにつなげたい。販売店向けには、東京・名古屋・大阪で開催した内覧会に続いて、10月からは地域ごとに勉強会を開催する。消費者向けには、3D対応液晶テレビ、冷蔵庫、エアコンの新製品が出揃う11月上旬から、テレビCMでアプローチを強化する」

Q 3Dテレビの差異化ポイントは何か。

 「一つは、3D映像の奥行き感を4段階に切り替えられる点だ。好みに合わせて調節できるようにした。操作性では、正面でディスクの出し入れができるので、側面スロットタイプと違って設置場所を選ばない。そのほか、CMカットした番組、あるいはCMだけを自動で再生する『オートカットi』も他社にはない機能だ。これらは『らく楽アシスト』としても訴求する」

Q 販売店などの反応はどうか。

 「昨年『REAL BHRシリーズ』を発売した当初は、販売店さん向けセミナーの参加率は3割程度だった。しかし、その後は毎回満席で、『三菱の話を聞いておこう』という意識をもっていただけるようになった。他のメーカーに遅れを取らずに3Dテレビを発表できたことも大きい」

Q どんな点が受け入れられたのか。

 「ユーザーからは、録画だけでなく、レコーダーとの配線が不要という設置性も評価された。またAV機器は、先進的なイメージを打ち出したいがために操作パネルやリモコンにアルファベット表記をすることが多いが、当社は、リモコンにできる限り日本語表記を用いている。これには、白物家電で培ってきた『わかりやすい操作』を追求する感性が生かされている。HDDとBDを搭載した録画対応テレビは他社も投入し始めたが、こうした動きから、自分たちが最初に取り組んだことがマーケットの本質を突いていたのだと確信した。今後は、三菱らしさとして、『らく楽アシスト』を前面に出して訴求を高めていく」

・思い出に残る仕事

 業界の先陣を切って、HDDとBDレコーダーを搭載する液晶テレビ「REAL BHRシリーズ」を発売した09年10月、荒木氏は、京都製作所営業部長の職にあった。発売前、開発者や営業担当者とともに、「三菱らしい独自性を出すにはHDDとBDレコーダー搭載しかない。これに賭ける」と、土俵際に追い込まれたような思いで勝負に出た。その結果は、吉と出た。「やりたいことをやらせてくれる上司や、仲間に恵まれていた」と謙虚に語る。その仲間との信頼関係を築くには「飲みニケーションが欠かせない」と笑顔で語った。