女性を意識したカメラアクセサリの販売が拡大しつつある。コンパクトデジタルカメラが普及し、最近では女性がデジタル一眼カメラを持ち歩く光景も珍しくなくなった。アクセサリメーカー各社は、女性が好むデザインや色の製品を相次いで発売。家電量販店やカメラ専門店に加え、新たな販路の開拓を始めたメーカーも出てきている。
カメラメーカーは女性に使い方や楽しみ方を提案
女性向けのカメラアクセサリが拡大しているのは、コンパクトデジカメで“カメラデビュー”した女性たちが、デジカメの魅力に目覚めたことが大きく影響している。コンパクトデジカメは、シャッターを押すだけでどんなシーンでも簡単・きれいに撮影できるように進化して女性ユーザーを開拓。さらにコンパクトでは飽き足らない層が、ミラーレス一眼やデジタル一眼などにステップアップしている。
2月9~12日に開催されたカメラと写真映像の展示会「CP+ 2011」では、メーカー各社が女性を意識したコーナーを設置し、簡単操作や軽量・コンパクトなどの特徴をもつ製品を盛んにアピールしていた。また、撮影後に写真をどのように楽しむのかを提案しているブースが多かった。
例えば、ニコンは雑誌『カメラ日和』『女子カメラ』とコラボレーションした特設コーナーを設けて、初心者向けの講座を実施。キヤノンは、インクジェットとフォトプリンタを展示することで印刷の楽しさを演出していた。カシオ計算機は、画像変換サービス「イメージングスクエア」の体験・展示コーナーを目立たせて、これも撮った後の写真加工を訴求。ペンタックス(HOYA)も、12色のボディと10色のグリップを組み合わせるカラフル一眼「K-r」を全色(120パターン)展示するなど、力が入っていた。

パナソニックブースではファッションショーのような演出で製品を紹介
ミラーレス一眼で一歩リードするパナソニックは、ブースのステージで「LUMIX」新製品をファッションショーのような華やかな演出で紹介。オリンパスイメージングは、ブース入口付近にミラーレス一眼「OLYMPUS PEN」をかわいらしい小物とともに展示して、女性たちが撮影を体験していた。
また、とくに女性の人気を集めていたのが、CP+事務局主催のプロカメラマンによるセミナー「エンジョイフォトステージ」。連日大盛況で、とくに休日は女性の参加率が高かった。
今春から新製品を続々と発売 売り場の“色”が変わる
デジカメメーカーが新たな巨大マーケットとして「女性」を開拓すれば、必然的にアクセサリメーカーもこの流れに乗る。「CP+ 2011」のアクセサリメーカーのブースが集まる「アクセサリゾーン」では、女性を立ち寄らせようと工夫を凝らしたブースが目立った。
三脚メーカーのベルボンは、カラフルな三脚を参考出品。今年中に販売を開始する予定で、早ければ今春にお目見えしそうだ。ブース中央にはお花畑に見立てた花を置き、三脚を使って自由に撮影できるようにした。一般の三脚も出展していたが、「今年は、新しいユーザーとして、とくに女性を獲得することがポイントになる。イベントでは初の試みとして女性にアピールするスペースを確保した」(国内営業部業務課の石原隆宏係長)という。実際、「さすがに男性のほうが多いものの、花を撮影しようと来てくださる女性も多く、このブースづくりは成功だった」と自信をみせる。女性へのアピールで手応えを得た今回のブースは、今後の販促企画に生かされるだろう。

ベルボンはブースの中央をお花畑に見立てて三脚撮影の楽しさを訴えた
ハクバ写真産業も、女性向けアクセサリの展示を充実させていた。この春に発売する豊富なカラーバリエーションを揃えたカメラケースやロングチェーンストラップ、ザブトン型のカメラカバーなどを出展。家電量販店やカメラ専門店だけでなく、さまざまな販路を検討しているという。「例えば、当社のオンラインショップでの販売状況を販売パートナーへの提案材料に使う」(購買部Web販売促進課の渡辺秀樹氏)ことによって、雑貨店やアクセサリショップなど、女性がよく行く店舗を新たな販路の一つとして獲得しようとしている。

ハクバ写真産業が今春発売する女性向けカメラアクセサリ
新しいユーザー層を開拓すれば、ビジネスチャンスは広がる。今後、量販店のカメラアクセサリ売り場では、女性にアピールする製品が確実に増えてくる。男性ユーザーも、いつまでも暗色系のアクセサリだけで満足しているわけではない。選択肢が増えるファッショナブルなアクセサリの展開は大歓迎だ。カメラアクセサリ売り場の“色”は、この春から一層カラフルになりそうだ。(佐相彰彦)